ビザスク

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2021.10.25セミナーレポート

サーキュラーエコノミー実践~オランダの事例に学ぶ、新しいビジネスモデル~

SDGsや脱炭素社会の実現に向けた動きが世界で加速する中、各企業の気候変動対策がますます重要になっています。 現在注目を集めているのが、サーキュラーエコノミー、即ち、廃棄物を含めた全ての資源を使用し続ける仕組みを創る経済モデルです。


サーキュラーエコノミーを企業戦略に取り入れることは、環境負荷軽減だけでなく、新しいビジネスモデルの創出にも繋がります。 また、現在最も先進的な取組みを実施している国が、オランダです。今回は、これまでオランダと日本の2拠点で200社以上の企業や関係省庁、行政機関を対象に講習会を実施し 「第35回青年版国民栄誉賞(TOYP2021)」にてグランプリを受賞された経験を持つサーキュラーエコノミー研究家の安居昭博氏をお迎えし、「サーキュラーエコノミー実践〜オランダの事例に学ぶ新しいビジネスモデル〜」と題したオンラインセミナーを開催しました。


イノベーション創出に向けたサーキュラーエコノミーの実践方法について、オランダでの最新事例を交えながら話していただいた様子をレポートいたします。

登壇者プロフィール

安居 昭博氏

サーキュラーエコノミー研究家
Circular Initiatives&Partners 代表


これまでに50を超える関係省庁・企業・自治体に向けオランダでの視察イベント、200社以上へ講演会を開催しサーキュラーエコノミーを紹介する。複数の企業へアドバイザー・外部顧問として参画。「トニーズ・チョコロンリー (Tony’s Chocolonely)」を初めとしたオランダ企業の日本進出プロジェクトにも参画し、日本とヨーロッパ間でのサーキュラーエコノミー分野の橋渡し役を務める。2019年日経ビジネススクールxETIC『SDGs時代の新規事業&起業力養成講座  ~資源循環૽ら考えるサスティナブルなまちづଁり~』講師。「サステナアワード2020」にて「環境省環境経済課長賞」を受賞。著書に『サーキュラーエコノミー実践 ─オランダに探るビジネスモデル』(学芸出版社)

なぜ、サーキュラーエコノミーが注目を集めるのか?

ここ数年、日本を含め世界中で「サーキュラーエコノミー」に対する注目度が高まっています。なぜ、これほどまでに注目されるようになったのでしょうか。


その背景には、大きく3つの要因があります。まず1つが世界人口が増加していること、そして2つ目が石油、石炭、レアメタルといった地下の枯渇性資源の安定供給が危ぶまれていること。そして最後が私たち人間の活動を通して排出された廃棄物によって引き起こされた環境問題が無視できないほど大きな影響を持つようになったということです。


そうした社会の変化とともに、環境に対する常識や前提も変化してきています。従来の常識や前提はどういったものだったのでしょうか。


これまでは「地球には限界がない」ことがすべての考えの起点になっていました。そのため、経済の永続的な成長は可能であり、経済成長は万能の指標かのように思われていました。長期ではなく、短期的な経済成長が重視される傾向にあったんです。


そうした常識や前提がどのように変化してきているのか。まず「地球には限界がある」という考えに変わってきています。最近、日本でもプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)という見出しの記事が見られるようになってきました。それに伴い、経済の永続的な成長は不可能と考えられるようになり、GDP(国内総生産)の見直しが進められています。


これは決してGDP自体を否定するわけではなく、GDPはあくまで経済に限った短期的な指標と位置付け、それ以外に男女の平等格差、メディアの透明度、政治的な腐敗度など複合的な指標でひとつの国や企業を評価する。そういった流れに変わってきています。この変化は近年、ESG投資が日本でも注目を集めているのか、という議論とも結びついてきます。


また、従来はひとつのP(Profit:利益)が重視される傾向にありましたが、近年はProfitに加えて、Planet(環境配慮)、People(人間)という3つのPを重視する傾向になってきています。3つの指標をもって、ひとつの国や企業を評価するという流れです。


実際に建築分野の人と話をする機会も多くあるのですが、建築分野でも従来はProfitが重視されていましたが、近年はPlanetとPeopleが重視される傾向にあるそうです。こういった流れを理解しておくと、なぜ近年日本でもウェルビーイングやウェルネスなどのトピックが取り扱われるようになったかも理解できると思います。


そして短期的な経済成長を最大化するビジネスモデルと長期的に持続的な利益を得ていくビジネスモデルは仕組みが全く異なります。そのため、短期と長期のバランスをもって国の政策やビジネスモデルを構築していく流れに変わってきているのです。


サーキュラーエコノミーとは何か?


では、サーキュラーエコノミーとは一体何なのか。この図表はオランダ政府が発表している「リニア」から「サーキュラーエコノミー」へというものです。


私たちがこれまでの社会で進めてきた大量生産・大量消費は一番左にある「リニアエコノミー」です。これは地球上の資源を取って、何かをつくり、使って捨てる。いわゆる一方通行型モデルで、他では線状モデルとも言われています。


一方のサーキュラーエコノミーは一番右側にあります。リニアエコノミーとの最大の違いは「捨てる」という部分がなくなってしまっている点にあります。サーキュラーエコノミーの特徴は国が政策を決めていく、企業がビジネスモデルを構築していくにあたって、最初から廃棄が出ない仕組みづくりを考えているのが最大のポイントです。


こういった話をすると、日本の企業の人たちから「廃棄物が出ないビジネスモデルは理想的すぎるのではないか」という意見ももらいます。・・・(続く)


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