有識者セミナーレポート


EV 減速の先を読む
日本の電池産業が進むべき「質の論理」と経済安全保障

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世界的な EV(電気自動車)市場の成長鈍化が鮮明になる中、日本の電池産業は大きな転換点を迎えています。中国の圧倒的な価格攻勢、欧州の新興メーカーの相次ぐ経営破綻、そして米国 IRA(インフレ抑制法)の廃案など、グローバル競争は激しさを増しています。このような状況において、日本が取るべき戦略は「規模の論理」を追うことではなく、これまで培ってきた「質の論理」を徹底することにあります。
本レポートでは、ホンダやサムスン SDI、そして経済産業省の有識者委員として電池産業の最前線を歩んできた 佐藤 登 氏が、最新の市場動向から電池火災の技術的背景、次世代電池の実像、さらに日本が勝機を見出すべき「経済安全保障」の観点までを詳しく解説します。

登壇者プロフィール

佐藤 登
名古屋大学 未来社会創造機構 客員教授
エスペック株式会社 上席顧問
イリソ電子工業株式会社 社外取締役
経済産業省「蓄電池産業戦略推進会議」有識者委員


1978年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了。本田技研工業株式会社 入社。88年社内成果により東京大学工学博士。90年基礎技術研究センターに車載電池研究機能を創設。92年チーフエンジニア。2002-04年「先進自動車用電池国際会議」セッション・チェアマン。04年9月サムスン SDI 常務役員。12年12月同社退社後エスペック株式会社、上席顧問。11年より名古屋大学未来社会創造機構客員教授。21年より経済産業省「蓄電池産業戦略推進会議」有識者委員。21年よりイリソ電子工業株式会社 社外取締役。■論文、講演、著書、TV出演等 1400件以上。■1999~21年版 米国 MARQUIS社 “Who’sWho in the World” 掲載。Wikipedia掲載: 佐藤登

登壇者背景と本セミナーの目的

本日はお忙しい中、私のセミナーにご参加いただき誠にありがとうございます。まずは、私のバックグラウンドからお話しさせていただきます。私は1978年に本田技研工業に入社し、1991年に本田技術研究所の中に自ら「電池研究室」を立ち上げました。以来長年、自動車メーカーという「電池を使う側」の立場で研究開発に携わってきました。

その後、2004年に韓国のサムスン SDI に常務役員として赴任しました。ここでは「電池を作る側」として、事業の最前線でグローバル競争を経験しました。現在は、名古屋大学での教鞭のほか、環境試験機器メーカーであるエスペックの上席顧問やイリソ電子工業の社外取締役などを務めています。自動車メーカーと電池メーカーの両方の視点を持ち、現在は後方支援的な立場からも電池産業を見つめていることが私の特徴です。


私は4年以上前から、経済産業省の「蓄電池産業戦略推進会議」の有識者委員を務めています。ここで大切にしているのは、単なる評論家にならないことです。現場を知る人間として、日本の電池産業が生き残るために何が必要かを考え、国に対して具体的な提言を行ってきました。


現在の世界情勢を一言で言えば、まさに混迷の極みにあります。

中国はご存じのとおり、国を挙げて「電池強国」への道を突き進んでいます。政府補助金は累積で11兆円とも12兆円ともいわれる規模に達しており、CATL や BYD といったコストリーダーが市場を席巻しています。しかし、その中国ですら2024年に入ってからは成長率が鈍化し始めています。EV と電池の価格破壊が進む一方で、火災事故が後を絶たないという深刻な問題を抱えています。

韓国については、サムスン、LG、SK といった大手財閥が国の強力なバックアップを受け、スピード感を持って事業を展開してきました。しかし、そのスピード感が裏目に出ています。米国市場の EV 成長を過信して大規模な投資を行った結果、現在は稼働率が低下し、三大財閥の電池事業は軒並み赤字に陥っています。

欧州の状況はさらに深刻です。かつてメルケル前首相が「欧州独自の電池産業が必要だ」と旗を振って誕生したスウェーデンのノースボルトは、2024年11月に経営破綻しました。ノルウェーのフレイルも同様です。投資資金はあったものの、製造の現場が伴わず、欧州発の電池産業は事実上、全滅状態といっても過言ではありません。その結果、欧州域内では韓国勢や中国勢の存在感がますます高まっています。


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