有識者セミナーレポート
日立製作所×三菱電機が語る
“個社” の壁を越えた 共創の実践と未来
共創が拓く次の成長戦略とは
本レポートでは、日本を代表する大手電機メーカーである株式会社日立製作所と三菱電機株式会社のキーマンをお招きし、「個社の壁を越えた共創」をテーマに開催されたセミナーの模様をお届けします。
両社はそれぞれ、日立製作所の「Lumada Innovation Hub Tokyo(LIHT)」、三菱電機の「Serendie Street Yokohama」という共創拠点を運営し、顧客やパートナーとの新しい価値創出に取り組んでいます。なぜ今、共創が必要なのでしょうか。大企業ならではの組織の壁をどう乗り越え、実践につなげているのでしょうか。具体的な事例や現場での苦労、そして未来への展望について、リアルな対話が繰り広げられました。
登壇者プロフィール
福島 真一郎 ⽒
株式会社日立製作所
デジタルシステム&サービス統括本部 Lumada協創本部
Lumada Collaboration LIHT Director
日立のデジタル家電の研究所に入社し、先端技術開発や標準化活動に従事。事業部に異動後、ID・セキュリティ商材を活用した様々な事業創生を担当。以後デザインシンキングを活用した協創による事業創生プロセスの確立と人財育成に尽力。Lumada Innovation Hub Tokyo (LIHT) の創設 PJ のリーダーを担当し、現在 LIHT の責任者として、日々お客様やパートナー企業様と One Hitachi での協創活動を推進している。笠井 嘉 ⽒
三菱電機株式会社
デジタルイノベーション事業本部
DXイノベーションセンター 共創推進部 部長
三菱電機の共創空間「Serendie Street Yokohama」を舞台に、事業創生、マーケティング、コミュニティ活性化などを目的とする空間の企画・運営に従事。プロダクトやサービスのデザイン、ユーザーリサーチ、ならびにデザインの力を活用した顧客協創を推進。協創施設の企画運営や、デザイン組織の旗揚げとマネジメントを経て、2025年3月三菱電機に入社。
日立製作所が目指す「Lumada」による社会イノベーション
福島 真一郎 氏(以下、福島)
本日は「協創」をテーマにお話しさせていただきますが、まず日立製作所において協創がどのように位置づけられているのか、そして私が責任者を務める「Lumada Innovation Hub Tokyo(LIHT)」がどのような役割を担っているのかをご説明します。
今年4月に発表された新経営計画「Inspire 2027」において、日立はこれから目指すべき世界観を示しました。「ウェルビーイング」「プラネタリーバウンダリー」、そして「経済成長」。これらが調和する「ハーモナイズドソサエティ」の実現に貢献し、持続的に成長していくことを掲げています。通常であれば3ヵ年の中期経営計画でお話しするところですが、今回はより先の未来を見据え、そこへ向かう姿勢を打ち出しました。
この実現に向けたエンジンとなるのが、図の中央にある「Lumada 3.0」です。日立はこのLumadaの方針に従い、目指すゴールに向かって推進していきます。
福島
「Lumada」という言葉は耳にされたことがあるかもしれませんが、その内容は「3.0」まで進化しています。最初は2016年に「IoTプラットフォーム(Lumada 1.0)」として発表しました。その後、2021年のGlobalLogic買収などを経て、デジタルエンジニアリングをグローバル全体へ広げる「Lumada 2.0」へと進化しました。
そして今年発表したのが「Lumada 3.0」です。キーワードは「Powered by AI」です。今の時代、AIは欠かせません。日立も生成AIをはじめとするAI技術を活用し、Lumada事業を推進していくことを宣言しました。
ここで少し歴史を振り返らせてください。日立は1910年に創業し、最初の製品は「5馬力誘導電動機」というモーターでした。その後、1960年代には新幹線の座席予約システム「マルス」といったITシステムを開発し、さらに運行管理システムのような制御技術(OT:Operational Technology)へと領域を広げてきました。
日立の強みは、この「プロダクト」「IT」「OT」の3つの領域すべてを持っていることにあります。これらを組み合わせることで、お客様に最大限の価値を提供できると考えています。
福島
しかし、順風満帆だったわけではありません。実は2009年(2008年度決算)、リーマンショックの影響もあり、日立は国内製造業で過去最大となる7,873億円の最終赤字を計上しました。「会社が潰れるかもしれない」という危機感の中、当時の経営陣は大改革を行いました。
まずは徹底的なコスト削減やプロセス改善といった内部改革です。しかし、それだけでは成長は望めません。「日立は何をすべきか」を原点に立ち返って議論し、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という創業のミッションに基づき、「社会イノベーション事業」へ注力することを決めました。IT、OT、プロダクトを組み合わせて社会課題を解決する。そのための仕組みとして立ち上がったのが「Lumada」です。
福島
Lumadaとは、「データ、テクノロジー、ナレッジと人財を掛け合わせ、デジタルで価値を創出し、ビジネスに大きな成長をもたらす仕組み」です。単なるIoTプラットフォームではなく、お客様のデータに光を当て(illuminate + data)、輝かせるための活動そのものを指します。
中でも「ナレッジ」と「人財」が重要です。日本では今後、熟練者の退職により企業の存続に関わるほどのノウハウ喪失が危惧されています。この暗黙知をAI等で形式知化し、活用していきます。それを推進するのが「協創」であり、スペシャリスト人財です。
・・・(続く)
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