有識者セミナーレポート

コニカミノルタ出身者が語る
技術シーズ先行からの脱却と顧客ニーズ探索の進め方
新規事業の推進・撤退を分ける意思決定に勇気をもつ

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新規事業を生み出せない最大の理由は、市場・自社の技術力・競合ではなく、「思い込んだ実現性の低い仮説にしがみつき、やめるべき時にやめられないこと」にあります。
本レポートでは、コニカミノルタでエンジニアとして新規事業開発に携わり、現在は農業系ロボット開発を手がける PLANTEZA株式会社代表の 川口 学 氏が登壇しました。BtoB メーカーが陥りやすい「既存技術への執着」や「浅いニーズ探索」の罠を浮き彫りにし、顧客の「痛み(損失の構造)」に深く切り込むための問いを解説します。事業の成否を分ける「探索の入口」や「撤退基準」、そして、解決策ではなく課題に執着するマインドセットなど、新規事業を成功へ導くための実践的な知見をお届けします。

※本レポートは、2026年2月26日に開催されたセミナーをレポート化したものであり、当該時点での情報に基づき作成されております

登壇者プロフィール

川口 学
PLANTEZA株式会社
代表

医療機器やロボットなど精密機器開発に携わる一方、技術戦略部にて現場課題起点の新規事業立ち上げを経験。MBA 修了後、都立大博士後期課程に進学し、有機農業の現場に入り込みながら困りごとの構造化と仮説検証を重ね、農業ロボットの研究開発を推進。現在はベンチャー参画と自社開発を通じ、課題探索から実装までの実践知の検証を進めている。

はじめに:本セミナーの背景と目的

改めまして、PLANTEZA株式会社の代表を務めております、川口 学と申します。
本日は「技術シーズ先行からの脱却と顧客ニーズ探索の進め方」というテーマで、私の経験に基づいたお話をさせていただきます。皆さん一人一人の目線で、日々の業務への気づきを持ち帰っていただければ幸いです。

私のこれまでの歩みを簡単にお話ししますと、前職では精密機器メーカーでエンジニアとして勤務しておりました。医療機器やロボット開発に従事する中で技術戦略部へと移り、現場の課題を起点とした新規事業の立ち上げを経験しました。その後、経営を学ぶために MBA を修了しましたが、学んだ理論が本当に実務で活かせるのか、自分自身で実践して確かめたいという強いモチベーションがありました。

そこで私は、東京都立大学の博士後期課程進学の翌年、同メーカーを退職しました。自身のドメインとして選んだのは、生まれ育った環境でもある農業の分野です。現在は有機農業の現場に深く入り込み、農家の方々の困りごとを構造化し、仮説検証を繰り返しながら自社設立のベンチャーにおいて農業系ロボットの開発と事業化を推進しています。

本日は、私がこれまで「やってはいけないこと」を数多く経験してきた中から得た、考え方や姿勢について本音でお話ししたいと思っています。



新規事業が失敗する「残酷な現実」

セミナーの冒頭ですが、まず皆さんに断言させてください。新規事業がうまく進まない、失敗する最大の理由は、技術力不足でもなければ、市場規模の見極めの誤りでもありません。私は、「実現性の低い仮説にしがみついて、なかなかやめられないこと」こそが、真の失敗理由だと考えています。

皆さんの現場を振り返ってみてください。今、企画検討を進めているそのテーマは、本当にお客様が困っている内容でしょうか。それとも、単に「技術的に面白いから」「自分たちができることだから」という理由だけで進めていないでしょうか。既存事業の周辺領域、いわゆる「染み出し」を狙う際、努力すればするほど、罠に陥りやすくなります。

経営層の皆様にも問いかけたいことがあります。そのテーマを「いつやめるか」をあらかじめ決めていますか。事業を推進する条件(GO 基準)は明確でも、撤退する条件(NO-GO 基準)は曖昧なままになっていないでしょうか。撤退の判断が論理的な基準ではなく、その場の「感情」に支配されていないでしょうか。
企業の資源は有限です。成果の出ないテーマにいつまでも資源を投下し続けることは、組織全体にとって大きなリスクとなります。

私がメーカーでの実務を通じて見てきた「残酷な現実」として、新規事業をなかなかやめられない理由は、主に4つの心理的・組織的障壁に集約されます。

  1. サンクコスト(sunk cost):すでに投下してしまった多額の投資や時間を「もったいない」と感じ、冷静な判断ができなくなること。

  2. 担当者の評価:事業を中止することが、担当者やリーダーの無能さを証明するかのような空気があり、個人の評価を守るために継続を選んでしまうこと。

  3. 「もう少し」という希望:根拠は薄いものの、「あと少し頑張ればブレイクスルーが起きるのではないか」という根拠のない希望にすがってしまうこと。

  4. 社内政治:役員の肝煎りプロジェクトであったり、特定の部署の顔を立てる必要があったりと、市場とは無関係な理由で継続が義務化してしまうこと。

これらの要因が複雑に絡み合い、一度走り出したプロジェクトを止めるのは至難の業となります。しかし、市場はお客様の都合で動いており、社内政治や個人の評価などは一切関係ありません。

本日の講演の目的は、便利な方法論を学ぶことではなく、「自分たちは一体どこから逃げているのか」という厳しい現実を直視することにあります。


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