有識者セミナーレポート

次世代イノベーター育成に効く「ハート思考」の理論と実践 〜ゴールを”創生”し、事業を”創造”するゼロイチ人材の育て方〜

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新規事業開発に強い組織を作るには、ゼロイチでの価値創出を体現できる人材を発掘・育成することが必要です。そのため、新規事業提案制度やビジネスコンテストなどの施策を試行し、現場社員の挑戦を推進しようとする企業が増えております。しかし実際には、「公募でアイデアを募っても良い提案が集まらない」「そもそも事業開発に取り組もうとする強いwlliを持つ人材が社内にいない」などの問題意識をお持ちの方々が多いのではないでしょうか。

今回は、元株式会社NTTデータの大坪五郎氏をお招きし、大坪氏が提唱されている「ハート思考」という独自の考え方に基づき、次世代イノベーターを輩出し続ける具体的な施策や手法についてお話いただいた模様をレポートします。

登壇者プロフィール

大坪 五郎
元株式会社NTTデータ Tangity所属
現フリーランス(サービスデザイナー)

ハードウェアエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、海外勤務を経てソフトウェアエンジニア、リサーチャー、プロジェクトマネージャー、事業開発等を担当。IPA未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエイター認定(2005上期)。現在はフリーランスとして主にNTTデータ向けにサービスデザインPJに従事するとともにデザイン思考・ハート思考の研修講師を務める。

社内で起こりがちな新規事業の話

突然ですが、こんな光景を⾒たことはないですか?

ある⽇、上司から「新規ビジネスを検討してほしい」と⾔われ、担当者は前向きに「やります。⽬標は何ですか?」と返事をします。すると、「そこは若い⼈の⾃由な発想で斬新な事業を考えてほしい。売り上げ⽬標は3年後に10億円くらい、弊社のコアコンピタンスを活かしてほしい」と⾔われるわけです。

その時点で「コアコンピタンスは何だっけ?」と思うかもしれませんが、さらに上司から「知り合いのコンサルにお願いしといたから、あとはよろしく」と⾔われる。後⽇、コンサルタントが来て「私たちにお任せください。事業プランをつくって、収益を出せるようにします」と⾔い、それっぽい感じのキラキラした資料ができる。

社内の⼈たちはその資料を⾒て、「これはいけそうかも」と思うわけです。ただ、資料が完成したらコンサルタントは請求書だけ残して去っていきます。すると、社内に残された担当者はだんだんと不安になっていきます。誰がやるのか。社内で当たってみても「いいね」「素晴らしいレポートだね」「似たようなテーマを新⼈がやっているから紹介してあげようか」と⾔われるものの、誰も「やる」と⾔ってくれない。そんな状況に困っていると、突然上司から「成果はいつ⾒せてもらえるかな?」という⾔葉が来るんです。

私⾃⾝、これまでのキャリアで数回、そのような状況を⽬撃しました。今回は、なぜこういう事態になってしまうのかを考えてみたいと思います。

起承転結のフレームワーク

まず、そのような状況に陥ってしまう原因について、オムロンの竹林さんが推奨している起承転結のフレームワークをもとに説明させてください。

「起」でゼロからイチを考え、「承」で組織としてどう行っていくかのグランドデザインを描き、「転」で事業計画・KPI・リスクを考え、結でQCDを作り込む。ここに並んでいる言葉を見ると、多くの人にとっては転と結の馴染みが深いと思います。私の考えでは、転と結は設定されたゴールをいかに確実に実行するか。ゴール達成が問われるフェーズです。

一方の、起と承はそもそも何を目指すのか。いわゆるゴールを創生するフェーズ。ゴール達成とゴール創生では必要とされるものが全く異なります。少し補足すると、普通の会社の仕事は98%くらいがゴール達成を目的としています。ゴール創生とゴール達成と言われても分からないという人もいると思うので、例を持ってきました。

ゴール創生とゴール達成の違い

これは、有名な東大の入試問題です。問題文自体は平易なもので、多くの人が理解できると思います。問題文は理解できる一方、回答を出すことは難しいと思われるかもしれませんが、ここで考えてほしいのはこの問題は達成すべきゴールがちゃんと示されていることです。円周率は3.05より大きいことを論理の破綻なく説明することができれば点数がもらえる仕組みになっている。これは私の考えでは、ゴール達成型の問題です。

ではゴール創生はどのようなものか。これは、東京藝術大学の入試問題です。問題文は「絵を描きなさい」というものだけです。東京藝術大学のサイトに行くと、この問題の出題意図も書かれているのですが、ここでは受験生にとって絵を描くとはどういうことかが問われています。その上で、個人の考えを油絵で表現して、学校側に伝えるということが受験生には求められています。これはゴール創生型の問題。

ゴール達成とゴール創生は言い換えれば、東京大学と東京芸術大学くらい違うわけです。

ある世界的に有名なデザインファームの共同創業者が、こんなことも言っています。「日本の企業は解決策を提示することにかけては抜群に優秀です。けれども「解決すべき課題は何か?」を見つけ出すことはとても苦手です」と。これは私なりに解釈すると、解決策を提示するのはゴール達成であり、解決すべき課題は何かを考えるのはゴール創生。日本は昔から、このゴール創生を苦手としてきているのです。
・・・(続く)

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