有識者セミナーレポート

大企業における新規事業創出の秘訣 
〜事業を成功させる仕組みと組織の作り方〜

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技術革新と人々のライフスタイル・価値観の変化によって、企業における新規事業創出ニーズは年々高まっています。その一方で、新規事業に取り組みたいが、「まず何から取り組むべきかわからない」「社内にノウハウがなくプロジェクトが前に進まない」などの課題を抱えている方は多いと思います。
また、特に大企業では社内のリソースが多い分、外部の人材や知見に頼れない、既存の発想から抜け出せないといったお悩みもあるかと思います。今回は過去にトヨタ自動車、リクルートホールディングスで新規事業開発に携わり、 現在はウーブンプラネットホールディングスにて新規事業開発を担当されている鈴木 貴博氏をお迎えし、大企業で新規事業を成功させるために必要な仕組みや組織の作り方について、ご経験をもとにお話いただいた様子をレポートします。

登壇者プロフィール

鈴木 貴博氏
トヨタ自動車株式会社
ウーブン・プラネット ・ホールディングス株式会社
新規ビジネス開発マネージャー

トヨタ自動車新卒入社。 製造、製品設計、製品企画、経営戦略を経験。その後海外大学との新規事業連携や、全社横断の新規事業に携わり、社内初のMaaSビジネスの企画担当。2018年〜19年にはリクルートホールディングスに外部コンサルタントとして参画。現在はウーブンプラネットホールディングスにてソフトウエアビジネスの新規事業開発を担当。年間100件程度のメンタリングは現在も継続中。

企業内の新規事業創出の手段

企業内で新規事業を創出するにあたって、主に2つの方法があります。それが事業企画部(プロ集団)による創出と公募制度(素人集団)による創出です。

「どちらの手法が良いのでしょうか?」と聞かれることもあるのですが、この2つはそれぞれ役割が異なりますので、どちらが良い・悪いという話でもありません。もし社内に公募制度がないのであれば、一度やってみるのも個人的にはオススメです。

事業企画部

事業企画部はプロ集団が新規事業を創出する、というもの。基本的な進め方はトップダウン。トップとコンセンサスを取り、事業を形にしていきます。トップの意思のもと、“1000本ノック”のようなアプローチで事業を作っていくため、リサーチ能力とオペレーション能力は必須です。中にはボトムアップ的なアプローチで進めていく方法もありますが、自分が知っている限りでは、トップダウンの方が成功の確率が高いと思います。

基本的には“1000本ノック”のやり方に持っていくべきで、10人企画者がいたとしたらそれぞれが100個、合計1000個の企画を考え、そこからブラッシュアップした10個を持っていく。そして、会社方針や経営陣のやりたいことに合わせて事業をつくっていきます。

なぜ、1000個なのか。これはエンツォ・フェラーリのデザインを手掛けた人物として知られている、世界的な工業デザイナー・Ken Okuyama(ケン・オクヤマ)さんが「10000個のアイデア」というテーマで、プロと素人の違いについてこう語っているんです。

プロの世界では100人のデザイナーがそれぞれ100個のデザイン案を考え、合計1万個のアイデアの中から最も優れたものを選ぶ。一方、素人の世界は5〜10個ほどのアイデアの中から“何となく良さそう”な1個を選び、それを必死に磨き上げていく。どちらが素晴らしいアイデアを生み出すかと言われたら明らかだと思います。だからこそ、プロ集団として意識しておきたいのは「とにかく数を出すこと」にこだわるということです。

そして、考えた企画の持って行き方としては「本命」と「対抗」、そして「大穴」を準備します。あとは、とにかくトップとのコミュニケーションの量を増やしていくことが大事です。コミュニケーションをたくさんとることによって、トップはその気になってくれる。当事者と同じくらいの熱量にするためには、トップを巻き込み、コミットメントを上げていく必要がある。そのために必要なのは、コミュニケーション量を増やすことです。

公募制度

一方、公募制度は広くアイデアを募って、新しい可能性を発掘するというもの。新規事業は多産多死の世界ではあるのですが、公募制度の場合は産まれる前に死ぬことがあまりに多い。例えば、プロが検討済みの事業案であったり、全然実現性がなかったり、言っていることがわからなかったりするアイデアが出てきます。

ただし、素人集団のアイデアが全く使えないわけではありません。公募制度を進めていくにあたって、大事なのは「仕組み」です。ポイントは2つあります。

まず1つ目が、1次情報を知っている人からの提案
です。これは価値があります。よく「顧客インサイトがわかっている」と言われますが、1次情報はまさにそれです。特に課題解決系のアイデアは新規事業には向いていると思います。

その反対に世の中に溢れているものの多くは2次情報や加工情報です。それらは新規事業の創出において意味がありません。最たる例が社会課題です。例えば、地方で高齢化が進んでいるとして、その課題に対しておじいちゃん、おばあちゃんでも乗りやすい乗り物が必要、ECサイトが必要ではないかと言う人がいますが、その時点で課題の粒度が荒い。そういった課題感からスタートする新規事業はほとんど失敗しますし、モノにもならない。

そうではなく、おじいちゃん、おばあちゃんはどういうことに困っているのか。東京近郊の地域と人口の過疎化が進んでいる地域は具体的にどう違うのか。現場まで足を運んで、本当の1次情報を獲得してから事業を考えるべきでしょう。・・・(続く)

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