有識者セミナーレポート

スタンフォード大学研究医が教える!アフターコロナのヘルスケア事業創出

facebookでシェア twitterでシェア
URLをコピーしました

新型コロナウイルス感染症の流行は、医療・ヘルスケア領域におけるさまざまな課題を浮き彫りにし、デジタル化やイノベーションを加速させました。一方、日本における医療・ヘルスケア領域のデジタル活用は、海外と比べて遅れているという現状があります。

このような中で、日本はどのように医療・ヘルスケア領域の事業創出・イノベーションを進めればよいのでしょうか?

そこで今回はスタンフォード大学循環器科 主任研究員で、医師の池野 文昭氏をお迎えし、コロナ禍における米国の最新事例や日本との比較、事業開発のトレンドや成功要諦、これらを踏まえた今後の展望についてお話いただいた様子をレポートします。

登壇者プロフィール

池野 文昭氏
スタンフォード大学 循環器科 主任研究員
スタンフォード大学 バイオデザインプログラム・ダイレクター
MedVenture Partners 取締役,チーフメディカルオフィサー


自治医科大学卒業。2001年から スタンフォード大学循環器科での研究を開始し、米国医療機器ベンチャーの研究開発、動物実験、臨床試験等に関与する。医療機器分野での豊富なアドバイザー経験を有し、日米の医療事情に精通している。医療機器における日米規制当局のプロジェクトにも参画し、国境を超えた医療機器エコシステムの確立に尽力している。 スタンフォード大学では、研究と平行し、14年から、 Stanford Biodesign Advisory Facultyとして、医療機器分野の起業家養成講座で教鞭をとっており、日本版Biodesignの設立にも深く関与。日本にもシリコンバレー型の医療機器エコシステムを確立すべく、精力的に活動している。

日本とアメリカの「国民性」の違い

ヘルスケアをビジネス面から見たときに、良い部分は収益を得ながら人の命に直接・間接的に関わったり、救ったりすることができる点です。おそらく、最もやりがいを感じるとともに、人から感謝される事業領域だと思います。また、最近はロシアによるウクライナ侵攻などの影響で株価が低迷していますが、ヘルスケア・医療領域に関しては他の領域と比べて影響を受けにくい、そういう側面からも個人的には魅力的な事業分野だと思っています。

そんなヘルスケア・医療領域における、ここ2年ほどの大きな出来事として挙げられるのがコロナ禍です。現在は第6波に突入している、と言われています。米国の医師であるエリック・トポル氏は「「日本は第6波での死亡数で過去一番を記録した世界唯一の国」とSNSに投稿していたのですが、その原因としてブースターショットの接種があります。

今は日本全体で3割、高齢者の7割はブースターショットの接種が済んでいて、それに伴って感染者の数も減ってきています。ただし、動き出しが遅かった。動き出しが遅い原因はさまざまありますが、日本は新しいことを始めるのにすごく慎重。ただ、一度動き始めると一気に進んでいきます。例えば、ワクチンの接種に関しても日本はOECD加盟国で一番スタートが遅かったのですが、接種を始めたら他の国を一気に抜いていきました。日本は新しいことを始めるのは慎重だけど、一度やり始めたら早い。そういう国民性の国です。

一方、アメリカは新しいことに果敢に挑んでいく国民性です。2022年3月時点で、アメリカの新型コロナの感染者数は約7900万人、死者は約100万人となっています。すごくダメージを受けたわけですが、そういう状況に対してアメリカはワクチンの開発に挑んでいきました。2008年に創業した、ワクチンを使った抗癌剤を開発するドイツのスタートアップ・BIONTECHにファイザーが目をつけ「コロナのワクチンを開発できないか」と話を持ちかけたんです。それと同時並行で、2011年に創業した、同じくワクチンを使った抗癌剤を開発するアメリカのスタートアップ ・モデルナがワクチンの開発を進めていきました。

その結果、2020年の12月には米食品医薬品局(FDA)に承認され、ワクチンの接種が進んでいった。開発期間はたった7カ月。個人的にはアメリカの底力を見た気がします。

また、アメリカは上陸している人には国籍関係なく、ワクチンを無料ですぐ打てるようにしました。公衆衛生上、コロナの感染対策にはたくさんの人にワクチンを打つことが大原則。アメリカに上陸したからには感染するリスク、感染させるリスクがあるということで、無料でワクチンを接種できるようにするスピード感はすごいなと思いました。

一方、日本は真面目なのでワクチン接種券を配布し、その接種券がないと接種できない仕組みでした。アメリカはスピード感を意識してましたが、日本は秩序を持って進めていった。このコロナ禍をきっかけに、医療は新しい国家安全保障に認められるようになりました。これがコロナによって世の中が変わったことのひとつだと思っています。

イノベーションの起源は「ペインポイント」

コロナ禍で私たちのライフスタイルも大きく変化しました。新しいサービスがどんどん普及していったわけですが、個人的に世の中にイノベーションを起こす際の起源は「ペインポイント」にあると思っています。困っていること、苦しんでいることを解決する。その困っていること、苦しんでいることをどう探し、そしてどう解決するか。・・・(続く)

続きのご講演内容や質疑応答などを含めたセミナーレポート(完全版)は、このページのフォームより無料ダウンロードいただけます。

  1. トップ
  2. 資料一覧
  3. お役立ち資料
  4. スタンフォード大学研究医が教える!アフターコロナのヘルスケア事業創出

各サービスの特長や料金が5分でわかる

サービス資料をダウンロード

最適なサービスやエキスパートを無料でご提案

ご利用に関するご相談(無料)