有識者セミナーレポート

サーキュラーエコノミーによるビジネスモデル創出~持続可能を商機に変える~基礎・最新動向編

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2022年2月7日に、セミナー「サーキュラーエコノミーによるビジネスモデル創出~持続可能を商機に変える~基礎・最新動向編」を開催しました。

脱炭素・SDGs実現のための、具体的な「方法論」として注目されているのが「サーキュラー・エコノミー(=循環型経済)」です。
サーキュラー・エコノミーの潮流は、企業にとって環境負荷低減に留まらず、新規事業創出・新商品開発のビッグチャンスです。

そこで今回は、一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン 代表理事で、「サーキュラーエコノミー:企業がやるべきSDGs実践の書」著者の中石和良氏をお迎えし、サーキュラーエコノミーの基礎・最新動向についてお話いただいた様子をレポートします。

登壇者プロフィール

中石 和良氏
一般社団法人サーキュラーエコノミージャパン 代表理事株式会社ビオロジックフィロソフィ 代表取締役CEO一般社団法人日本ビオホテル協会 代表理事

パナソニック、富士通・富士電機ジョイントベンチャーで20年間経理財務・経営企画部門業務に携わった後、ITベンチャー、QBハウスを運営するキュービーネットホールディングス経営企画室長を経て、2013年に起業。2010年頃より、欧州の世界最先端の欧州サステナビリティ思想・政策・戦略と関わる。ドイツ・オーストリア発祥のサステナビリティに特化したホテル団体「BIO HOTEL協会」と公式提携。併せて、株式会社ビオロジックフィロソフィを設立。日本でのBIO HOTEL認証システム及び持続可能なライフスタイル提案ビジネスを展開。2018年、企業と政策策定者に向けて一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパンを創設。 日本経済産業の「サーキュラーエコノミー」への移行を加速するプラットフォームを運営。講演・セミナーをはじめ、大企業・中堅企業のサーキュラーエコノミー事業戦略/ビジネスモデル構築コンサルティング、アドバイザーを行うと同時に、自らもサーキュラーエコノミーモデル事業を展開。著書に「サーキュラー・エコノミー:企業がやるべきSDGs実践の書」ポプラ社

大きく変化しつつある「地球環境」

いま、日本でもサーキュラーエコノミーに関して非常に大きな注目が集まってます。私自身、さまざまな企業、団体から講演・セミナーにお声がけをいただき、すでに300回ほど登壇する機会をいただいています。また、企業のビジネスモデル、事業戦略を構築するお手伝いをするケースもどんどん増えていっている、という状況です。

なぜ、サーキュラーエコノミーに注目が集まっているのでしょうか。その背景には、私たちが住む「地球環境」の変化があります。具体的に説明していきましょう。

いま、世界の人口は約79億人ですが、2050年には約100億人になるとも言われています。30年弱でおよそ1.3倍に増える計算です。また、人口が増えていきながら新興国や発展途上国の経済も成長していくため、廃棄物の量も一気に増えます。

現在、年間の廃棄物の量は20億トンと言われていますが、世界銀行の推計では2050年には年間34億トンになるとも言われています。1.7倍になる計算です。このように、この30年ほどで人口増加と廃棄物の増加が急激に進んでいきます。

そうすると、2050年までに何が起きるのか。天然資源は枯渇し、地球温暖化によって異常気象が頻発。また、生物多様性が急激に喪失し、自然システムも破壊していきます。さらには経済的格差も急拡大し、社会の仕組みが崩壊していくでしょう。結果的に人類は安心して暮らせなくなるといった事態が想定される状況になっていきます。

4つのメガトレンド

そのため、「持続可能な世界をつくろう」ということで、世界的に4つのメガトレンドが生まれています。1つ目が「プラネタリー・バウンダリ」という概念です。これは地球の環境容量の限界を9つの要素に分けて、地球がどういう状況にあるかを示すものです。

そして、2つ目が「デカップリング(切り離す)」です。これは2011年に国際資源パネルと国連環境計画が打ち出した概念です。人々の健康・幸せ(ウェルビーイング)と経済成長を向上させながら、資源の使用量、環境への負荷を切り離そうというものです。この頃からサーキュラーエコノミーという概念が提唱され始めました。

そして、3つ目が「SDGs」、4つ目が「パリ協定」、いわゆるカーボンニュートラルです。この4つが地球の持続可能性を実現するためのゴールとして設定され、さらに実現に向けて世界中の経済活動を変えていこう、ということが示されました。そうした動きに対して真っ先に名乗りを上げたのが投資家、金融業界です。

例えば、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の金額は2012年から右肩上がりで増えており、2020年には3883兆円を記録しました。これは世界全体の投資金額の4割弱を占める規模です。すでに投資の資産自体はESGに向かっています。

世界最大の資産運用会社であるブラックロックは2020年から2021年にわたって、顧客である投資家に向かって「サステナビリティに取り組む企業にしか投資しない」ということを宣言しています。また、投資先の企業に向けても「気候変動やサステナビリティに取り組まない企業には投資しない」という方針を明確に打ち出しています。ブラックロックによれば、サステナビリティ投資の金額は2025年には約2倍になるとも言われています。

日本においても、世界最大の資産保有金額(約193兆円)を誇る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2014年に資産運用のポートフォリオを変化させました。それまでは国債などの債権が大半を占めていましたが、株式の割合を増やしたのです。その株式の中でも、ESG投資の割合は約2割を占めていると聞いています。世界でも日本でもESG投資に関する興味が高まり、大きな資産が動き始めているのです。

なぜ、投資家や金融業界がESGなのか。これは環境・社会と経済の関係性から考えると非常に分かりやすいです。環境価値(地球の持続可能性)があり、それがあって初めて社会価値、経済価値が生まれてくる。投資家や金融業界からすると、環境価値、社会価値が失われると、経済価値もなくなるので、リターンが得られなくなる危険性があるのです。

そのため、真っ先に地球の持続可能性を実現するためのゴールを達成する取り組みをサポートする動きになりました。それにあわせて、企業も一緒にESGに関する取り組みを強化し、ビジネスモデル、事業戦略を変えていくことが生まれてきています。

まさにいま、世界中が新しい文明社会へのパラダイムシフトを起こしている。そういった言い方をしてもいいでしょう。

大きく変化しつつある「地球環境」

では、どうやって4つのゴールを実現するのでしょうか。SDGsをビジネスにする、気候変動をビジネスにするということをよく耳にすると思いますが、具体的にどうするか。

実は日本以外の国々では早くから、4つのゴールを実現する手段としてサーキュラーエコノミーに対して、国際協調的に取り組むといったことがスタートしていました。

サーキュラーエコノミーは2014年ごろから、欧州などで「産業革命以降250年における資本主義市場最大の革命」とも言われていました。ここから世界中がサーキュラーエコノミーへの移行をスタートし始めたのですが、このとき日本は冷ややかに見てしまった。・・・(続く)

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