有識者セミナーレポート

プロセスエコノミーが生み出す新たなビジネスモデル

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インターネットによる情報流通が加速する社会では、すぐにコピーされてしまうため、モノやサービスの差別化がますます難しくなり、競争は激化しています。

そのような時代において、価値の源泉となり得るのは、モノやサービスそのものでなく、独自のこだわりや哲学が反映された制作過程、すなわち「プロセス」です。

従来のモノやサービスに「プロセス」という付加価値を与えることで、誰にも真似できない、新たなビジネスモデルとなり得ます。

今回は、ベストセラー「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」著者でIT批評家の尾原 和啓氏をお迎えし、「プロセスエコノミー」の基礎から始まり、「プロセスエコノミー」の潮流を踏まえた新規事業・新商品のアイディア創出方法、B2B・B2Cの両方を含む大手企業や先進企業の具体事例、2022年以降のトレンド予測などについてお話いただいたセミナーレポートをお届けします。

登壇者プロフィール

尾原 和啓氏
IT批評家

京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現在13職目 、シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡いでいる。ボランティアでTED日本オーディション、Burning Japanに従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。近著「プロセスエコノミー」は予約時でAmazon書籍総合ランキング1位販売前1万部増版「アフターデジタル」は元 経産大臣 世耕氏より推挙 11万部「モチベーション革命」は 2018年Amazon KindleUnlimited年間1位。韓国・台湾・中国などで翻訳多。

プロセスエコノミーとは何か?

まず最初にプロセスエコノミーとは何か、を説明していきます。簡単に説明すると、完成品ではなく、その人が持つ“こだわり”や“哲学”が反映されたプロセス、いわゆる制作過程を売るというものです。今まで日本はものづくり大国として良い製品をつくり続けてきたこともあり、完成品で儲かることが考えの中心にあったと思います。

しかし、インターネットが普及し、良い製品が出たら一瞬で情報が行き渡ってしまう時代において、完成品の性能や機能だけで差別化を図ることが難しくなっています。どんな良い製品をつくったとしても、すぐに似たり寄ったりの製品が出てしまうわけです。

分かりやすいのがスイーツ屋さんです。コンビニで低価格かつ高品質なスイーツを短いスパンで出されてしまっては、スイーツ屋さんは完成品で差別化を図ることは難しい。そうした状況の中、どうすればお客さんから選ばれる存在になれるか。

大事なのは完成品、いわゆるアウトプットで勝負するのではなく、アウトプットに至るまでのプロセスを見せることです。制作過程にはその人が何にこだわり、どうやってつくってきたかという“こだわり”や“哲学”が反映されるので、お客さんに味方になってもらいやすい。そしてアウトプットは情報社会の中でコピーされがちですが、プロセスはなかなかコピーできない。一人ひとりが持つ物語、哲学が付加価値になり、それが唯一無二の武器になる。その武器をもとにビジネスを展開していくことをプロセスエコノミーと言っています。

では、なぜプロセスに価値が出るのでしょうか。それはアウトプットでの差別化ができなくなったこと以外にも、いくつかあります。その中で、私が最もインパクトが大きいと思っているのは、若い人たちの価値観がシフトしたことだと思っています。

「ポジティブ心理学」の祖として知られる、 マーティン・セリグマン博士は「幸福は5つの要素で構成されている」と言っています。この5つの要素とは、快楽、没頭、人間関係、意味合い、達成というものです。昔の時代は快楽や達成といった要素が幸福を感じるために重要とされてきましたが、今の時代は没頭、人間関係、意味合いが重視されています。

昭和の時代の日本は第二次大戦後の荒廃から復興し、ものづくり大国として急速な経済成長を遂げることで“東洋の奇跡”とも呼ばれていました。当時は何もなかったからこそ、自動車や冷蔵庫、洗濯機、テレビなど“何か”をつくることが大事とされてきました。何もない状態から、何かをある状態にしていくことに達成感を覚えたり、今までなかったものをつくることで生活が変わることに快楽を感じたりする時代だったわけです。

ただ、今のZ世代やミレニアル世代は生まれたときから、ある程度満たされている。コンビニやファミレスに行けば安くて美味しいものが食べられて、NetflixやAmazon Prime Videoを使えば数千円でいろんなコンテンツを楽しむことができます。

モノが満たされてきているからこそ、達成感や快楽に幸福を感じるのではなく、「これは私に意味があるものなのか」という意味合い、「仲間と楽しい時間を過ごす」という人間関係、「他のことを忘れるくらい集中できる」という没頭が幸福のための要素として比重が重くなってきている。アウトプットで感じられる達成や快楽に幸福を感?じず、プロセスで感じられる意味合いや人間関係、没頭に幸福を感じやすい価値観にシフトしています。・・・(続く)

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