有識者セミナーレポート

NECの事例に学ぶ!市場調査の実践プロセス
〜200人超の声を集めたリサーチの設計から実行まで〜

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新規事業・マーケティングにおいて「市場調査」は、プロジェクトを成功に導く鍵となります。市場調査の質を高めるためには、デスクリサーチをはじめとした一般的な情報(ニ次情報)だけでなく、市場に精通した有識者から具体的・実践的な情報(一次情報)を取得するプロセスが重要です。また、プロジェクトの内容に応じて、適切な調査設計や調査手法の選択をすることも不可欠となります。

そこで今回は、日本電気株式会社マーケティング&アライアンス推進部門 GTM戦略統括部(当時)の駒込郁子氏をお招きし、国内IT企業初のCxO調査レポート作成にあたり、200人超のエキスパートを対象とした多面的な市場調査を実施したプロセスについてお話いただいた模様をお届けします。

登壇者プロフィール

駒込郁子
日本電気株式会社

NECデジタルプラットフォーム戦略統括部

2009年NEC入社 ビジネスデザイナーとしてデザイン思考や欧州手法を取入れた顧客共創型の新規事業開発にて様々なお客様とのコラボレーション活動を経験後マーケティングに転向。現在はDXのThought1Leadership活動やマーケティング戦略を立案&実行中

定量アンケート調査と定性インタビュー調査の2つで
CxOの声を集める

私はNECのマーケティングメンバーとして、「NECを日本一の戦略的DXパートナーにする」ことをミッションとして掲げ、日々仕事に取り組んでいます。具体的にはお客様、自社のビジネスプロセスを改革していくことで、継続的な成長を実現し、顧客との未来の共感を創出していければと思っています。

DXは企業の変革そのものであると思っているので、経営層にダイレクトにアプローチしていくことが重要になります。NECではCxOをターゲットに、彼らが求める情報のニーズは何かを定期的な定量アンケート調査と、通年で行っている定性インタビュー調査をもとに考えています。それを踏まえて出来たのが、「NEC DX経営の羅針盤2023」です。

今回は「NEC DX経営の羅針盤2023」の製作プロセスをベースにしながら、市場調査のポイントについて話していきたいと思います。

まず、「NEC DX経営の羅針盤2023」を製作するにあたって、定量のアンケート調査を実施しました。これはNECのターゲット企業から匿名で約200名のDXリーダーを抽出し、Webアンケート調査を実施。ここでは「ビザスクexpert survey 」というサービスを活用させていただきました。また、定性インタビュー調査は1人ひとりに直接会いに行き、インタビューをしてじっくり話を聴きました。ここでは「ビザスクinterview」も活用しました。その後、定量アンケート調査と定性インタビュー調査の内容をもとに、得られた情報を考察し、提言という形にして発刊しました。

特徴的なのは、定性インタビュー調査については「NEC DX経営の羅針盤2023」を発刊したから終わりではなく、今も継続しているところです。通年で定性インタビュー調査を行いつつ、同時に2度目の定量アンケート調査を今まさに実施しているところで、対象の方々にアンケートを依頼し、その内容を2024年度版として製作を進めています。

定量アンケート調査の目的と進め方
アンケート回答者をシビアにスクリーニング

ここから定量アンケート調査について話を深めていこうと思います。私たちのレポートでは、204名の方に定量アンケート調査を依頼し、その回答内容を分析していきました。

204名という数字だけ見ると、少ないのではないかと感じる人もいると思います。ただ、今回はかなり厳選した204名の方から回答をいただき、それを分析しています。所属する企業の売上高は少なくとも300億円以上で、ボリュームゾーンは1000億〜5000億です。また役職は課長以上にしています。それ以上に、今回は役職よりも実際にご自身が社内でDXに関して深く権限を持って活動できているかをシビアにスクリーニングし、集めました。

では、なぜ定量調査アンケートを実施するのか。私たちには大きく3つの目的がありました。それが「私たちは企業のDXの取り組みの実態と課題を定量的・具体的に特定するため」「企業のDXの取り組みを、体系化・人文知化し、私たちの知見も加えて発信するため」「個を知る(N=1分析)ことにより、仮説の検証を行うため」です。

NECはDXを推進するにあたって、いくつかの仮説を事前に持っていたので、その仮説が正しいかどうかも検討したい思いで定量アンケート調査を実施しました。

なぜ、「ビザスクexpert survey」をしたのか。いくつかの調査会社を比較検討する中で、「ビザスクexpert survey 」は経験豊かなエキスパート層の登録者が多かったんです。狙った回答属性の方のアンケートを確実に回収できる見込みがあったので活用しました。

また、回答者のモチベーションが高く、記述式設問に対する回答の質が高い。今回はその点もすごく重視していました。DXを推進する上でどんな課題があり、それをどう乗り越えたのか。失敗談なども交えて細かく聞くことができたので良かったです。

実際に定量アンケート調査を実施することで、業務のデジタル化は84.4%が着手しているけれど、意思決定のデジタル化は約半数が未着手という結果が得られました。意思決定のデジタル化、いわゆるデータドリブン経営は実現が難しいと思いつつ、まだ半数も着手できていないという事実は定量アンケートを実施し、分析したからこそわかったことです。

意思決定が自社の中でデジタル化できているかどうかは、経営に近いところで日々仕事をしている人でなければ回答できません。「わかりません」という回答になってしまうと分析できないので、きちんとスクリーニングするのは重要でした。

・・・(続く)

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