ビザスク

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2022.04.26セミナーレポート

Human Augmentation 人間拡張技術による未来ビジネス

近年「人間拡張(Human Augmentation)」の技術トレンドが注目されています。


テクノロジーの進化は、新たなビジネスを創出し得ますが、米MarketsandMarkets社が2022年に発表したレポートによると、世界の「人間拡張」市場規模は、2021年の1317億ドル(約17兆円)から2026年には3412億ドル(約44兆円)に、年平均で21%成長すると予測されています。


それでは、「人間拡張」の先に実現し得る未来のビジネスとは、具体的にどのようなものでしょうか?


そこで今回は「人間拡張」「IoA」の提唱者で、東京大学 情報学環 教授/ソニーコンピュータサイエンス研究所 フェロー・副所長の暦本 純一氏をお迎えし、「人間拡張」のコンセプトや最新動向は勿論、まるでSFのようにワクワクする未来ビジネスの可能性についてお話しいただいた様子をレポートします。

登壇者プロフィール

暦本 純一氏
東京大学情報学環教授
ソニーコンピュータサイエンス研究所フェロー・副所長
SonyCSL京都ディレクター


世界初のモバイルARシステムNaviCamを1990年代に試作、マルチタッチ研究を世界に先駆けて行うなど常に時代を先導する研究活動を展開している。Human Augmentation(人間拡張)、Internet of Abilities (IoA)、Human-AI Integrationに興味を持つ。日本文化デザイン賞、ACM SIGCHI Academyなどを受賞多数。近著に「妄想する頭思考する手」(祥伝社)。

4つの領域から考える「人間拡張」

Augmented Society(人間拡張による社会の拡張)と題して、どのようにオフラインの世界と、オンラインの世界が融合し、拡張していくかを考えていければと思います。


「人間拡張」というキーワード自体は、数年前から日本でも取り上げられるようになってきたので、耳にしたことがある人もいると思います。


人間拡張とは端的に言えば、ロボット技術に代表されるようなテクノロジーを活用して人間の能力を拡張していくことを考える、という技術領域です。2010年に国際会議が発足しているので、10年ほどの歴史があります。また、ガートナーの「戦略的テクノロジーのトップ・トレンド」でも2020年ごろから取り上げられています。


人間拡張は分かりやすく言えば、いわゆるサイボーグのような技術ではあるのですが、一言にサイボーグと言ってもさまざまな種類があります。例えば、ロボットやヒューマノイドは分かりやすいでしょう。究極的には自律的に行動するアトムのような人間の代わりになるロボットを作ろうという、ものです。一方で、サイボーグ009のようにテレパシーの能力や空を飛ぶ能力など、人間の能力を一部拡張させるようなものもあります。



一般的にアトムのようなロボットはAI(artificial intelligence、人工知能)、サイボーグ009のようなサイボーグはIA(Intelligence amplification、知能増幅)といった形で切り分けられて考えられています。


AIは聞き馴染みがあると思いますが、IAは今でいうGUI(グラフィカルユーザインターフェース)のようなユーザーインターフェースを通して人間の能力を拡張することも含めたものです。この2つは対比して、昔からよく紹介されてきました。


そうした背景を踏まえて、私が所属する東京大学では人間拡張に関して、「身体(身体機能の拡張)」「存在(テレプレゼンス、体外離脱)」「認知(知能の拡張、AIと人間の融合)」「知覚(感覚の拡張、感覚の置換)」という4つの方向性で研究を進めています。


これらは、それぞれ独立して存在するものではなく、相互に関わり合うものです。そのため「身体×存在」「知覚×認知」といったような掛け合わせが発生します。


下記の図では、真ん中にIoA(Internet of Abilities。能力のインターネット)と書きました。サイボーグ009の時代はひとりの人間が能力を拡張する感じでしたが、これからはネットワーク越しに他人とつながったり、メタバースのようなオンライン空間とつながったり、ネットワークとつながることによって人間拡張が進んでいくと思います。



現在、私たちの研究室では身体の拡張に加えて、知覚・存在・認知の拡張に注力しています。今回は人とAIの融合、能力のインターネットについて話をしていければと思います。・・・(続く)


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