有識者セミナーレポート
パーソルの仕掛け人に聞く
生成 AI 導入と巨大組織の動かし方
国内グループ社員1万8000人活用への舞台裏
パーソルホールディングス株式会社が取り組んだ⽣成 AI の導⼊‧社員の活⽤推進の
具体例をもとに、⽣成 AI 導⼊から国内グループ社員1万8,000⼈以上の利⽤実績に⾄るまでの活⽤推
進⽅法など、成功要因を深掘りします。
「経営層や社員をどのように動かしたのか?」その鍵となる、安全に使える環境の整備と学びを⽌め
ない仕掛けの⼆つの視点から、導⼊‧活⽤促進の具体的なポイントと実践的なTipsをお伝えします。
登壇者プロフィール
朝⽐奈 ゆり⼦ 氏
パーソルホールディングス株式会社
グループデジタル変⾰推進本部 本部⻑外資系プロジェクトマネジメントソリューションベンダーにてキャリアを開始。外資系 ITセキュリティ会社2社でコーポレート IT部門の責任者を経て、2014年にパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。2018年、パーソルホールディングスへ転籍し、新法人設立に従事。2020年、パーソルホールディングス グループデジタル変革推進本部 ビジネス ITアーキテクト部 部長に着任。2021年より現職。(※2025年2月時点)
上田 大樹 氏
パーソルホールディングス株式会社
グループ IT 本部 ワークスタイルインフラ部
デジタル EX 推進室 室長移動体通事業の店舗運営/営業7年、ITインフラエンジニア5年、ITサービスマネジメント領域のコンサルティング、セミナー講師3年などの経験を経て、パーソルホールディングスへ入社。入社後は、PC、拠点ネットワーク、TV・Web会議、電話などのサービスマネージャ業務に従事したのち、アジャイル組織化に向けたパイロットチームを立ち上げ、2023年10月にデジタル EX推進室に着任。(※2025年2月時点)
パーソルにおける生成AIの導入戦略
パーソルグループのAI技術利活用促進の全体像
まず、私たちの現在地からお話しします。私たちパーソルグループは、派遣サービスの「テンプスタッフ」、それから転職サービスの「doda」など“人材”に関するサービスを総合的に提供している企業です。
国内の会社数は38社、海外は111社(2025年4月1日時点)と現在は海外の方が社数が多い状況ですが、本日は国内の取り組みをメインにお話しします。
少し前の情報になりますが、パーソルグループの生成AIの活用状況について2024年の11月にプレスリリースを出しました。内容はパーソルグループにおける生成AI活用の取り組みをまとめたもので、国内グループ社員の1万8,000人以上が生成AIを業務に活用しているとともに、生成AI活用事例の社内コンテストも開催しています。
また、転職サービス「doda」においては生成AIによる職務内容の自動生成機能の提供、スキマバイトアプリ「シェアフル」では人材紹介サービス「シェアフルエージェント」での履歴書や職務経歴書の一部に生成AIを組み込むといった取り組みを進めています。
かなり進んだ取り組みになっていると思いますが、私たちの生成AIの取り組みを俯瞰して整理したものが、こちらのチャートです。

パーソルグループでは生成AIに限らず、「パーソルグループ中期経営計画2026」においてテクノロジー戦略を立てて事業を推進しているのですが、テクノロジー推進の領域が左側にある4象限で表されています。
私たちは人材業ですから、デジタルの力を使ってお客様(法人・個人を含む)の“はたらく体験”をより良くしていきたいですし、またサービスを提供するパーソルグループの社員自体もデジタルの力でより良いはたらく体験を生み出したいと思っています。そのためにはテクノロジーを活用して人・組織が強くなっていくことが大事であると考え、顧客体験、従業員体験、デジタル化、DXという4象限でテクノロジー戦略をまとめています。
さまざまな取り組みを遂行していますが、生成AIに関しては4象限のすべてに当てはまるということで、従業員体験の領域においては教育/啓発活動、パーソル版GPT、AI基盤といった取り組みをしていますし、顧客体験の領域においては既存事業に生成AIを組み込んでマッチングの高度化、履歴書・職務経歴書作成などの機能を提供しています。
では、パーソルグループがこのように生成AIをグループ全体で使えるようになるまで、どのような経路をたどってきたのか。少し以前の話になりますが、振り返りたいと思います。
生成AI導入の旅
パーソルグループは2023年4月ごろから生成AIの取り組みを始めました。2023年2月〜3月ぐらいに生成AIが世の中で注目され始めたときから、私たちも取り組みを始めましたが、2023年度の4月〜9月ぐらいまでは安心・安全に使える環境の構築に尽力していました。そして安心・安全に使える環境ができた後は、これをいかに使っていくか、いかに学んで自分たちのものにしていくか、という取り組みをしました。
大きく2段階で生成AI導入を進めましたが、これをもう少しブレイクダウンして見ていきます。

・・・(続く)
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