活用事例
新規事業開発に複数の調査手法を活用 目的に合わせた最適な使い分けが成功への近道
第一生命保険株式会社
インタビューにご協力いただいた方
- イノベーション推進部 ビジネスデザイン課 野村 直矢様
第一生命保険株式会社様は、過去多数ビザスクをご活用いただいておりますが、今回新たに4つのテーマの新規事業開発において、ビザスクintervew(スポットコンサル)やエキスパートサーベイ、ビザスクreport(調査代行サービス)を活用されました。
2022年7月には、イノベーション推進部ビジネスデザイン課の野村様に登壇いただき、当社主催セミナーで”新規事業開発における目的に合わせた調査手法の最適な使い分け”をテーマにお話しいただきました。本記事では、その内容から抜粋してビザスク活用事例を紹介いたします。
ご所属部署の役割や業務内容を教えてください。
第一生命株式会社では、「全ての人々の幸せ」をビジョンに掲げ、「well-being」を念頭に新規ビジネスの創出を進めております。今後はデジタルと対面を組み合わせ、非保険の分野においてもビックデータやAIを活用して事業展開していくことを目指しています。
私が所属しているイノベーション推進部 ビジネスデザイン課は、新しいアイディアを0から創出する役割を担っています。
ビザスクの活用事例をお聞かせください。
新規事業に関するアイディアを練って形にしていく過程で、ビザスクの様々なサービスを度々活用してきました。今回は、直近2年間で新規事業として検討した中から、4つの事例をご紹介します。
①事業アイデア:ファクタリング紹介事業
-複数サービスを使い分けた段階的な知見活用で社内説得の裏付け材料を獲得-
当社には、取引先中小企業へ融資する等のファイナンス機能はありません。そこで、コロナ禍をきっかけに、資金繰りが大変な企業に対して、売掛金を早期に現金化したい場合に使われる資金調達の手法であるファクタリングの紹介サービスを作ろうと考えました。しかし、机上で調べても市場規模やリスクなどわからないことが多く、ビザスクを利用することにしました。
まずは「ビザスクinterview」で有識者3名にスポットコンサルを行い、法律やコンプライアンス面を考慮しても事業化が可能そうであることが見えてきました。そこで、インタビュー内容を元に経営幹部へ提案したのですが「ニーズはあるのか?」と突き返されてしまいました。
再びビザスクに相談をし、「ビザスクexpert survey」を活用して本サービスのターゲットである中小企業の経営者50名にアンケートでニーズ調査を行いました。結果ニーズの存在が明確になり社内説明の材料を補強することができました。
このように段階的にビザスクのサービスを活用し、2ヶ所でPoC(概念実証)を実施するという成果につながりました。
②事業アイデア:クラウドファンディングを活用したアスリート支援事業
-ニッチな領域で行き詰まったときも経験者へのヒアリングで解決-
クラウドファンディングとテレビやアプリを活用したプロモーションによるアスリートの支援事業を企画しました。この事業の狙いは収益を上げるというより、若年層とのタッチポイントを増やし、そこで得た情報を本業の生保事業に活かすことでした。
企画を進めていく上で行き詰まった点は、クラウドファンディングで得た個人情報を当社のマーケティングやプロモーションの活動にどの程度展開していいものなのかということです。この点を整理するために「ビザスクinterview」を利用し、類似した経験をお持ちの方にお話を聞きました。正しい個人情報の扱いを理解できましたし、このようなマーケティング手法に効果があることもわかったため、事業としてスタートさせることができました。
結果としては、テレビ放送が12回実現し、クラウドファンディングも目標の金額を集めることができました。アプリのリーチ数も多く、狙いとしていた若年層との接点を増やすこともできたので、新規事業として成功させることができました。また、この取り組みでプロモートした12人のアスリートのうち1人が東京オリンピックで金メダルを獲得し、想定以上のインパクトをもたらしたのではないかと考えています。
③事業アイデア:発展途上国における本人認証サービス事業
-海外調査でも手軽に生の声を取り入れることで早期課題発見-
最新のeKYC(本人認証)の技術を活用し、なりすましの多い途上国、例えばバングラデシュでその課題を解決するサービスを提供できないかと考え起案しました。そこで「ビザスクinterview」でバングラデシュのビジネスに精通する2名にインタビューをしました。
結果、バングラデシュでビジネスをすることの難しさ、PoCの費用対効果など多くの課題が見つかり、今回はPoC実施を断念しました。現地のビジネスに精通した方の生の声を取り入れることで、早い段階で企画の方向性を判断することができてよかったと考えています。
④事業アイデア:生保営業×モビリティの新サービス
-調査からレポート作成までしてくれる「ビザスクreport」でスムーズな検証を実現-
生保営業の新しい形を目指す事業も検討しています。具体的には、MaaS企業と手を組んで、移動中の車内で生命保険の商談ができないかという実証実験をしました。
今回は、「ビザスクinterview」だけではなく、調査代行サービスの「ビザスクreport」を初めて使いました。当初、実証実験のKPIの置き方や検証の仕方が自分の中で整理できずにいました。そこで「ビザスクreport」でデータサイエンティストやマーケティングのプロフェッショナルの意見を聞きながらレポートにまとめるところまで一気通貫でサポートをお願いしました。その結果、KPIを適切に設定し、都内3ヶ所でPoCを実施できました。今後さらにサービス実施に向けて検討を進める予定となっています。
ビザスクの導入で従来のリサーチから変化したことはありますか。
一次情報をスムーズに得られるようになりました。有識者の生の声を聞くことで、思いがけない発想が生まれ、ビジネスモデルが磨き上げられると思います。また、情報を集めるスピード感は一気に上がったと思います。質とスピード、両軸でプラスに働いています。
ビザスクで得られた情報をどのように意思決定に活用していますか。
有識者から得られた情報は、新規事業を進行する上で決定権のある上層部へのプレゼンテーションに活用しています。上層部がどのような情報を望んでいるかを正しく把握し、それを得るフェーズではインタビューやサーベイを活用し、得られた情報をまとめるために「ビザスクreport」を活用して、上層部説得への道筋を建てられました。
新規事業に従事されている方々に対して、おすすめのビザスクの活用方法を教えてください。
適材適所、必要なサービスを効率よく使って情報や知見を収集することが大事だと感じました。有識者から知見を集めること自体は目的ではなく、あくまで手段です。事業化を進めるにあたって足りない情報を補足するために、インタビュー、webアンケート、調査代行などを効果的に組み合わせて使うことをおすすめします。
ビザスクに相談すると課題に合わせて最適なサービスを薦めてくれます。
新規事業開発における今後の展望をお聞かせください。
これまでの新規事業開発では主にスタートアップ企業との連携を探っていましたが、大手企業の新規事業部門とも連携していきたいと考えています。大手企業同士のスケールメリットを活かしながらオープンイノベーションで事業創出をしていきたいです。
また、当社がキーワードとして掲げている「well-being」の意味合いをより明確に示せるよう、現在大手旅行会社と組んで、well-beingの体験価値を見える化する事業開発を進めています。
さらに、日本の大手企業がタッチしづらいCBD(カンナビジオール)の分野にも着目しています。この分野は欧米では流行しているため、日本においてもビジネスの可能性を探っていきたいと考えているところです。そういった局面ではビザスクの海外調査も活用していきたいですね。