活用事例
顧客の声を武器にする「売れる製品づくり」への挑戦
利用したサービス
ビザスクexpert survey:ビジネス領域特化のオンラインアンケート
ビザスクinterview:1時間単位のインタビュー
概要
エキスパート:自社リレーションでは辿り着けないプレ顧客
依頼内容:仮定したニーズの妥当性があるのか、アンケートとインタビュー組み合わせ検証
実施施策:ビザスクexpert surveyでプレ顧客の意見を収集。ビザスクinterviewで意見を深掘り
こんな方におすすめ
・新規事業のアイデアを、顧客の深いインサイトで検証したい方
・アジャイル開発の精度とスピードを向上させたい製造業の担当者
・製品企画における重要な意思決定を、外部の専門知見で補強したい方
三菱電機株式会社 名古屋製作所 は工場を自動化するハードウェアであるシーケンサー(PLC)やサーボモータなどを開発、製造しています。今回お話を伺ったのは、これらハードウェアを動作させるためのパラメータやプログラムを設定するソフトウェアを開発しているソフトウェアシステム部に所属する江口様です。伺ったテーマは、新規事業開発における「ビザスク」のサービス活用方法。江口様に課せられたミッション「ニーズを掘り起こし、事業化可能なソフトウェア製品を数年以内にローンチすること」をどのようにして実現していったのか、詳しくお聞きします。
なぜ社内の知見だけでは「売れるソフトウェア」が作りにくいのか?
Q. ソフトウェア開発における課題とはどのようなものだとお考えですか?
私は入社後15年以上、ウォーターフォール型の開発に携わってきました。この手法は、顧客価値が変化しにくい状況では目標に向かって迅速に開発を進められる強みがあります。 しかし、新技術の登場や市場の変化が激しい現代において、顧客価値もまた変化しやすくなっています。特に新製品開発では、状況に応じて開発目標を柔軟に変えることが重要だと考えます。
数年前、私がリーダーを務めた新製品開発プロジェクトで、まさにその課題に直面しました。前製品へのお客様の要望を基に顧客価値の仮説を立て開発しましたが、2つの壁がありました。 一つは、現代の市場環境でウォーターフォール型の開発を適用する難しさ。もう一つは、顧客価値を深く分析する難しさです。 当時は社外での仮説検証が難しく、お客様に近い立場の社内メンバーで検証を進めましたが、お客様の「隠れたニーズ」までは把握しきれませんでした。
その結果、製品をリリースした後になって、私たちはお客様の本当のニーズを知ることになりました。この経験から、開発の初期段階でいかに顧客の深層ニーズを捉え、開発プロセスに反映させるかが重要であることを痛感しました。
この学びを元に、新製品を「本当に売れる製品」にするためには、実装に入る前の「企画段階」でこそ業界の隠れたニーズを掘り起こし、顧客を代表する方々と仮説検証を繰り返すことが大切であると確信しています。

「お客様」のご意見は公平かどうか?疑問を持つことから始める
Q. 課題を解決するために、どのような施策を実施しましたか?
課題解決のため、私は一つの仮説を立て、『ヒアリングに協力をしてくださる既存のお客様は本当にその市場全体を代表しているのだろうか?』と疑問を持つことからはじめました。新規事業開発は必ずしも潤沢な資金があるプロジェクトばかりではありません。私たちも今まで開発コストを優先し、関連会社を通してお取引のあるお客様から市場ニーズや現場の課題感について事前にヒアリングを行い、このエビデンスをもとに開発を進めていきました。
しかし、すでに私たちの製品を活用いただいているお客様というお立場の方からの意見を集約し、それを事業所の数だけでも17万以上※ある製造業の代表意見として取り扱うことは果たして公平と言えるのでしょうか。今回のプロジェクトで私たちが意識したのは、狙うべき顧客の中に存在する、異なる属性の複数の方から均等に意見を抽出することでした。以下の図で言えば、ターゲット顧客の母集団(赤枠内)の中にいる赤、青、黒それぞれの属性を持つ方からバランスよくお話を伺うイメージです。
※経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」より
効率的に深掘りできるインタビューでニーズの解像度が格段に向上
Q. ビザスクexpert survey、ビザスクinterviewを活用した結果、どのような成果が得られましたか?
まずビザスクexpert surveyで、20名の方へのアンケート調査を行いました。私が重要視していた、三菱電機製品をすでに活用いただいているお客様に絞らず、製造業に関わる全ての方々を候補としていただけるようにお願いをしたところ、まさに我々が求めていた候補者を的確にご提案いただき、大変助かりました。
アンケート調査を受けて、さらに深いご意見をヒアリングするために、ビザスクinterviewでインタビューを行いました。その中で印象に残っていることがあります。ほとんどのエキスパートの皆さんは、プロフェッショナルとして我々のプロジェクトに貢献しようという、非常に真摯なスタンスで対応してくださいました。「もっと聞かなくて良いですか?」など、我々の欲しい情報の意図を理解した上でこのようなお声かけを受けるような場面もあり、初対面かつ一度のインタビューでここまで深く話せるとは想像していませんでした。時間もコストも限られる中で、ここまで効率的に聞きたい人に深く聞くことができたことによって我々が求める市場ニーズの解像度が上がりました。
顧客の声を武器にしたアジャイル開発の肝
Q. 結果、どのような製品が開発されたのでしょうか?
従来の新規事業開発においては、「製品を製造・開発するフェーズにおける業務効率改善」に注目しがちでした。しかし今回私たちは、商談・見積もりから現地調整、納品までの全フェーズを対象に、ビザスクexpert survey、ビザスクinterviewを通じて、業界に潜む根深い課題の探索を行いました。そこで見えてきたのは、私たちが当初想定していたような目に見える問題ではなく、より深刻な「手戻り」の課題でした。
ヒアリングを重ねると、その原因の多くが、発注者と受注者の間のコミュニケーション齟齬によるものであることが判明したのです。特に象徴的だったのが、見積もり業務の実態です。商談開始から受注まで約3ヶ月、最初の見積もり提出後に要件のすり合わせが2ヶ月も続き、その間に何度も見積書を作り直す、というのです。
社内でも同様の話は聞いていましたが、アンケートやインタビューでお話をした方々も、これは業界ではよくある話として、そもそも課題として捉えていないということに、大きな衝撃を受けました。この「無意識の非効率」を解決するソフトウェアを作ることで国内製造業の業務効率化に貢献できると感じ、製品開発をスタートさせました。
完成した製品「Memory Tech」のイメージ

Q. ビザスクexpert survey、ビザスクinterviewは他にどのような方におすすめでしょうか?
ありがたいことに製造業ソフトウェア開発におけるアジャイル開発に関して、社内外で講義をさせていただく機会が増えています。その中でもお話ししているのですが、短期間での効果検証が求められるアジャイル開発では、正確な市場リサーチが肝になります。その中で、ビザスクは非常に強力なパートナーになると確信しています。
よくコスト面での心配をされる声も聞かれますが、自社で調査を行おうとすると、候補者のリストアップや日程調整、移動時間、さらには社内インタビュアーの人件費まで考慮すると、かえってコストや手間がかさんでしまうケースも少なくありません。それであれば、ビザスクを利用した方がはるかにメリットが大きいので、新規事業開発を担うメンバーにはぜひ前向きに検討していただきたいですね。
















