活用事例

資本市場に響くブランドエクイティの可視化に挑む

日本電気株式会社

目的
業種
部署

利用したサービス

ビザスクreport:論点設計から調査・レポーティングまで一気通貫支援
ビザスクexpert survey:ビジネス領域特化のオンラインアンケート

概要

エキスパート:
①アカデミア及び企業の実務責任者など、社会関係資本に関する取り組みを行っている方
②機関投資家やアナリストなど、資本市場で企業価値を評価される方

依頼内容:
①社会関係資本およびブランドエクイティが経営にもたらすインパクトについて
②ブランドエクイティに対する資本市場の意識実態について

実施施策:レポート調査で論点を整理し、サーベイで実態を検証

こんな方におすすめ

・無形資産や非財務資本の価値を可視化したい広報・IR担当者
・無形資産や非財務資本を含めた企業価値向上のロジックを構築したい経営企画担当者
・経営層にブランドの実利を説明したい責任者

会社情報
NEC は、AI、セキュリティ、ネットワークなどのテクノロジーを核に持続可能な社会の実現を目指すグローバルテックカンパニーです。今回は、経営企画・サステナビリティ推進部門(取材時)、現ブランディング&メッセージング部門角谷様に、ブランドエクイティの可視化に向けた取り組みと、ビザスクを活用した資本市場・事業市場へのインサイト探索の進め方について伺いました。

「ブランドと企業価値の関係を捉え直す」

Q. ブランドエクイティの可視化に取り組むうえで、どのような課題がありましたか?

私たちのチームは、ブランドエクイティを企業価値向上にどう接続するかという問いに向き合っています。2年前の組織立ち上げ当初から、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードを意識し、将来の開示要請を見据えた準備に取り組んできました。PBR1倍割れの是正や東証からの開示要請を背景に、資本市場を意識した経営が求められる中、人的資本や自然資本の開示は進む一方、社会関係資本(社会的な信頼やブランド、ネットワークなどの資本領域)では、可視化のルールや方法論が明確には存在していません。近い将来、社会関係資本に関する開示要請が広がる可能性を見据え、その時に応えられる状態を先んじて作っておくことが、活動のスタート地点でした。


利益と利益成長が投資家への判断材料であるという見方が一般的である中で、そこにブランドが関与しているという実感は持ちにくい状況です。


このようにブランドの貢献が十分に可視化されていない中、ブランドは企業価値に寄与する重要なエクイティである、という仮説から出発する必要がありました。


そのためには主観ではなく外部データに基づく客観的な裏付けが必要でした。一般の調査レポートでは大きな潮流は把握できても、投資家の実際の判断基準や、その中にブランドエクイティの要素がどう含まれているかという実務の実態までは見えてきません。


投資家の本音を、社内議論の客観的根拠に

Q. 数ある手段の中で、ビザスクを選んだ理由を教えてください。

決め手は、「本当に声を聞きたい相手にアクセスできるか」という点でした。私たちのテーマは社会関係資本の経営インパクトに始まり、資本市場におけるブランドの位置づけや、コーポレートガバナンス・コードの開示要請における無形資産の扱いといった、一般的なブランディング活動とは一線を画したかなり専門的な領域 に踏み込みます。社会関係資本・資本市場といった切り口で一定量以上の声を集めることは、一般的な調査手法では困難でした。


一方ビザスクのデータベースには80万人超のエキスパートが登録されており、アカデミックな専門領域に加え、機関投資家や投資アナリストなど目的に合った人物に直接アクセスできる点に大きな価値を感じました。これにより、投資家の評価目線と社会関係資本の観点という二軸で声を取りに行くことができました。


テーマごとに使い分け、一次情報で仮説を検証

Q. ビザスクをどのように活用しましたか?

私たちのチームはルーティンワークではなく、テーマに応じて手段を組み立てる動き方をしており、ビザスクもテーマごとに使い分けています。


出発点は社会関係資本の全体像をつかむ調査でした。経済産業省の価値協創ガイダンスや内閣府の知財・無形資産ガバナンスガイドラインを参考にして議論を深める中で、ブランドが社会関係資本に位置づけられることが見えてきました。ここでビザスクreportを活用し、デスクリサーチに有識者インタビューを組み合わせ、二次情報では見えない論点を一次情報で補いました。


次のフェーズでは、ビザスクexpert surveyで資本市場側の実態を捉えるアンケート調査を実施しました。社会関係資本といった少しマイナーな専門領域の調査においても、実務経験者に絞れる点が私たちのテーマと合致しています。


とりわけ重要だったのが機関投資家やアナリスト対象の調査で、自由記述の比重を高め、選択肢では拾えない実務者ならではの言葉を集める設計にしました。


社内説得と行政対話を支える客観的根拠

Q. ビザスクを活用したことで、どのような成果がありましたか?

最も大きな成果は、客観的な裏付けが得られたことです。外資系投資家を中心に、日本企業の無形資産開示への期待が高まっているという事実は、社内で取り組みの意義を説明するうえで、大きな説得力となりました。


また、活動は社内にとどまらず、経済産業省・内閣府・金融庁といった行政機関との対話にも発展しており、社会関係資本とは何か、ブランドはそれにどう寄与するのかを先んじて整理するうえで、ビザスクで得たインサイトが重要な役割を果たしています。


ビザスクの介在価値として強く感じているのは、仮説と問いに沿った実務者にアクセスできる点です。テーマが専門的になるほど一般的な調査では拾えない声が必要になり、そのアクセスを可能にする仕組みが活動の重要な部分を占めています。


コストから価値へ、企業価値向上のロジック構築

Q. 今後の展望についてお聞かせください。

今後は、ブランドエクイティの取り組みを社会関係資本に留まらず、様々な非財務資本とも連結し、価値の可視化の可能性をさらに発展させていきたいと考えています。内閣府のガイドラインによれば、米国S&Pトップ企業の無形資産比率は約9割に達するのに対し、日本企業はおよそ3割にとどまります。一般的には、日本企業は製造業を中心として発展してきた歴史的背景もあり、コストアプローチ、つまり原価に粗利を積んで売る発想で事業を組み立ててきました。一方、ソフトウェアやサービスといった無形資産を中核にして価値を創出してきた米国S&Pを代表するトップ企業は、顧客が感じる価値を起点に価格を設定するバリューアプローチを志向する傾向が強く、この構造の違いが無形資産比率の差として現れていると捉えています。


日本企業が高い利益率を享受して持続的な企業成長を実現するためには、無形資産を活用して顧客価値を創出するバリューアプローチへの転換が必要であり、その価値の中身を説明する際にブランドや背景にある信頼といった要素が重要になります。当社が目指すのは、社会価値と企業価値の両立、すなわち、事業を通じて顧客価値、ひいては社会価値を創造し、その価値評価に基づいて公明正大な利益を獲得することで、企業価値を持続的に向上させる企業の姿です。ブランドエクイティを単なるブランド活動として閉じるのではなく、その両立を支える企業価値向上のロジックの一部として位置づけ、社内外で議論できる状態にしていきたいと考えています。


そのためにも、一次情報を取りに行ける仕組みを提供しているビザスクは今後も重要なパートナーです。生成AIの進化により二次情報の整理は効率化されましたが、ステークホルダーの心の中の本音はAIでは代替できません。今後も仮説検証のサイクルを回しながら「ステークホルダーから選ばれ続けるブランド」を追求していきます。


セミナー開催情報

本記事へ取材協力いただいた角谷 貴士様が登壇されたアーカイブセミナーを公開中です。詳細は下記リンクよりご覧ください。

NEC が挑む、企業価値を高めるブランドエクイティ戦略
〜なぜ “見えない価値” を扱うのか〜

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