活用事例
新規事業コンテストの設計・運営にインタビューを活用 普段は触れることのない現場の声を聞き意欲を高めることができた
小野薬品工業株式会社
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- 業種
- 利用サービス
インタビューにご協力いただいた方
- BX推進部 藤山 昌彦様
小野薬品工業株式会社様は、今回人財育成プログラムや社内事業提案制度において、「ビザスクinterview」を活用されました。
このたび当社主催セミナーでBX推進部の藤山様を登壇者に迎え、“イノベーション人財を生み出す風土醸成への挑戦“をテーマにお話しいただきました。本記事では、その内容から抜粋して同社のビザスク活用例を紹介いたします。
所属部署の役割や業務内容をお聞かせください。
私が所属しているBX推進部ではイノベーション人財育成のために、様々なプログラムを行っています。現在は人財育成プログラム「Ono Innovation Platform」(以下 OIP )やOIPの中の1プログラムである新規事業コンテスト「HOPE」の運営を担当しています。OIPはイノベーションに挑戦し続ける人財を育成するためのプログラムとして2021年の6月にスタートし、約1年間で全社員の2割程度が参加しております。
人財育成プログラム「OIP」が始まった背景をお聞かせください。
当社は創業300年を超える長い歴史のなかで、一貫して先発型の医薬品、新薬を開発してきたメーカーです。近年は癌治療薬の「オプジーボ」の成功もあって、右肩上がりに成長していますが、新薬の開発は限りなく確率の低い仕事で、多くのチャレンジの上に1つの成功が成り立っています。さらに一度良い薬が開発されても、特許は期限付きです。当社では創薬の事業を強化するだけでなく、事業領域を拡大していかなくてはいけないという危機感を持ち、海外展開や新規事業に取り組んでいます。
ではイノベーションを起こすには何が重要なのでしょうか。そこで「ヒト、モノ、カネ、情報等の全ての経営資源を取り扱う」「ヒトの成長なくしてイノベーションは生まれない」と考え、OIPがスタートしました。イノベーションに挑戦することが社員にとって、強制ではなく自発的なものとなり、イノベーションに挑戦し続けるカルチャーを持つ会社になることを目標にしています。
人財育成プログラム「OIP」の内容についてお聞かせください。
様々なプログラムを通して、学習と経験の場で挑戦に向かうマインドとスキルを高めてもらい、その後学んだことを活かして実際に挑戦に向かうという構造をとっています。
「innovation cafe」では、セミナーやワークショップなど、多くの社員に参加してもらえるプログラムを提供しています。最新のビジネスやテクノロジーに関する講演を通して視座を高めることや、イノベーションを生む方法論や顧客思考に基づく課題解決手法を学ぶことが目的です。
また、大企業ではなかなか経験できない課題解決に取り組む「ベンチャー提案制度」というプログラムもあります。これはベンチャー企業が抱えている課題に対して、プログラムに参加している大企業の社員が解決策を提案し、フィードバックを受けるプログラムです。現場で起こっている課題に対する解決力だけでなく、ベンチャーとの真剣勝負により挑戦心、胆力を養うことができます。
さらに「ベンチャー出向制度」は、1年間ベンチャー企業に出向し、様々な現場の問題・課題に対峙するプログラムです。成長途上で不安定なベンチャー企業の社員として働き、当事者意識や行動力、挑戦に対する精神力を身につけ、小野薬品にイノベーションに挑戦するマインドを持ち帰ってもらいます。
続いて、新規事業コンテスト「HOPE」についてお聞かせください。
「HOPE」という名前には、私たちのイノベーションへの挑戦が、患者さんやそのご家族の希望へと繋がっている、という意味が込められています。既存事業とは異なる未解決の課題に取り組む変革のリーダーになる人財の発掘を期待し、2021年に開始しました。
社員が起点になり、発見した課題に対して会社がサポートをしながら事業化に向かうプログラムで、起案者自身がなぜビジネスコンテストに取り組むのか、何を解決したいのかを深堀りし、見つけるセッションからスタートしています。また、実際に顧客に会うことで、課題を解決しなくてはいけないという思いが強くなるように工夫してプログラムを設計しています。
約9ヶ月のプロセスを経て、今回は最終審査で3テーマが選ばれました。選ばれたメンバーは自身のテーマを持って専任部署に移り、本格的に事業化検討に取り組んでもらうことになります。
「OIP」を運営する上で、何を大事にされていますか。
やるべき理由とやりたくなる環境を作っていくことが大事だと考えています。
プログラムを通じてどんな社会貢献ができるのか、また、社会貢献と同時に大きな何かを成し遂げるという自己実現が可能なのかを考えてもらい、実行までできるようなプログラムにしていこうと考えています。
やりたくなる環境については、心理的なハードルを下げるようにしています。現業への影響は心配しなくて良いことをしっかり説明し、エントリーしてもらいます。参加者の多くは新規事業の経験がないので、学習ツールの提供をしたり専門家のメンタリングや調査ツールなどを使ったりできるようにサポートしています。よりインセンティブを感じてもらうために、最終審査まで通過できなかった社員も含めて勉強会を継続したり、最終審査会を全社配信したりしています。
また、事務局が参加候補者である社員の声に触れ続けるために、アンケートやヒヤリングをはじめ、各部署に説明に行く取り組みも行っています。プログラムごとにコミュニティを作り、参加者とインタラクティブな会話ができるようにチャットツールを活用したり、事務局による相談会も行っています。
どのような場面でビザスクをご活用いただきましたか。
新規事業コンテスト「HOPE」の設計と運営で活用しました。まず、ビジネスコンテストの設計や運営経験のある専門家にインタビューをし、運営を始めるまでの課題やタスクを教えていただきました。やるべきことを漏れなく抽出することができ大変助かりました。
またプログラム運営時には、事業案の検証のために有識者を探していただきました。医師やカウンセラーのような専門家や関連のある企業担当者を探す際にとても有効で、自力で探すのは難しい領域でも困ったらビザスクに相談していました。
ビザスクを利用した効果は実感されていますか。
製薬企業は薬について医師に説明しますが、患者に対して処方誘引になるような情報提供をしてはいけません。社員が患者さんと接する機会は少なく、実際の患者さんの様子やリアルな状況を把握することが難しいのですが、ビザスクを活用することで普段患者さんに接するカウンセラーの方等にもお話を実際に聞くことができました。ビジネスコンテストの起案者にとっては、一次情報が得られるだけでなく、どんな人を助けたいのか、ということがより鮮明になり、事業化への使命感が生まれたようです。参加者への非常に良い刺激になっており、事業化を目指すモチベーションを高める効果があると感じています。
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