活用事例

社内ファイルのAI活用をどう進めるか。実務を見据えた構築プロセス

パナソニックホールディングス株式会社

目的
業種
部署

インタビューにご協力いただいた方

  • 日根様

利用したサービス
ビザスクtech
国内20万人超の知見データベースから、IT・DX領域に特化した専門家を業務委託形態でアサインする伴走支援型サービスです。PM・PMO、エンジニア、データサイエンティスト、ITコンサルタントなどの実務経験が豊富な人材が、貴チームの一員としてプロジェクトの推進を支援します。

概要
エキスパート:Microsoft・AI活用システムに精通し現場目線で伴走できる専門家
依頼内容:技術データを生成AIで活用するためのデータ基盤の構想策定と要件定義の支援
実施施策:ビザスクtechで最適なIT専門家を確保し3ヶ月の伴走支援

こんな方におすすめ
・社内の技術データをAI活用につなげたいDX推進者
・専門人材が不足する中でタイトな開発を率いる事業開発責任者
・AIに詳しい人材が社内に不足していると感じる責任者

会社情報
パナソニックホールディングス株式会社のMI本部は、生産技術のR&Dを担う部門です。同本部のマニュファクチャリングソリューションセンター開発企画部では、センターの戦略立案や技術管理、技術者が専門性を発揮するための組織づくりを推進しています。今回は、同部で技術管理を担う日根様に、生成AIを活用した技術データの管理・活用基盤をわずか3ヶ月で構築したプロジェクトの裏側について伺いました。

技術データの集約と活用を目指す部門主導の挑戦

Q. どのような背景から技術データ基盤の構築に取り組まれたのでしょうか?

私が所属するMI本部は、弊社の生産技術のR&D部門であり、その中のマニュファクチャリングソリューションセンター開発企画部では、センターの戦略立案や技術管理、技術者が専門性を発揮して成果に繋げるための組織基盤づくりを担っています。今回、センター内のDX推進の一環として、AIを活用したデータ基盤の構築に取り組みました。背景には、モノづくりを革新するための設計情報や開発記録といった様々な技術データが組織として一箇所に集約されておらず、有効に活用できる状態になっていないという課題がありました。

しかし、単にデータを一箇所に集めてサーバーを移すだけでは、単なるデータの置き場所に過ぎません。それでは公開されたレポートなどの「二次情報の限界」と同様に、技術者が日々の開発で行き詰まったときに本当に必要な生きたナレッジを実務に活かせず、彼らが創造性を存分に発揮して革新的なモノづくりを生み出す組織の環境づくりには繋がらないと感じていました。


そこで、蓄積したナレッジを実務で有効に使いこなせるよう生成AIの活用を目指したのですが、プロジェクトにアサインできるメンバーにはAIやITの専門知識に長けた人材が不足していました。また、全社共通のシステム開発プロセスを経て進める形では調整に一定の期間を要するため、部門主導でスピード感を持って立ち上げる必要性も感じていました。


実際のプロジェクト期間は開始からわずか3ヶ月と非常にタイトであり、しかも専任のチームではなく、他の通常業務を抱えるメンバーが部門を横断して兼務する体制だったため、専門的なシステム構築の手法やアーキテクチャを一から調べて検証していくにはリソースの限界がありました。現場の技術者たちには日々のソリューション開発に集中してほしいという思いもあり、社内のインフラ整備に多くの時間を割くわけにはいきません。現場のニーズは手元にあるものの、それを形にするための専門的なノウハウが不足しており、構想段階から専門的な知恵を貸してくれる存在を必要としていました。

現場に負荷をかけない、変化に強い仕組みづくり

Q. ビザスクtechの活用に至った経緯を教えてください。

このプロジェクトを推進するにあたり、選択肢としては二つありました。
一つは、社内で調べながら自分たちだけの「内製」で進める道。もう一つは、システム構築ができるコンサルティング会社に一式を委託する道です。ただ、どちらも一長一短がありました。
「内製」の場合、現場の声を反映しやすい反面、最新の生成AI技術をシステムへ最適に落とし込むための知見をさらに補う必要があります。一方で、技術構築を外部へ一任する形をとると、システムとしての完成度は高まる反面、現場の日常的な業務フローや細かな運用ニーズとの間にギャップが生じ、定着が難しくなるという課題が一般的に起こりがちです。


私たちは社内のITシステムにMicrosoft製品を広く導入しています。そのため、既存の環境を大きく変えずに、その範囲内でいかに使いやすく、AIが活用しやすい設計を実現するかという「知見」だけを、必要な期間だけ外部から取り入れたいと考えていました。実装は別の開発ベンダーに任せつつ、上流の設計だけを専門家に相談できる形が理想でした。そうした中で、以前から定期的に情報をいただいていたビザスクtechを、プロジェクトの立ち上げ期にタイミングよくご紹介をいただきました。自分たちにない専門知識を補うためのアプローチとして有効だと感じ、まずは相談してみることにしました。

Q. 実際に伴走したエキスパートの具体的な「決め手」は何でしたか?

選定において重視したのは、生成AIを活用したデータベース構築の知見があり、一般的なITシステムにも詳しいことでした。その上で、本来の通常業務と兼務しながら新しい技術領域に携わるメンバーともしっかりと目線を合わせ、対話を大切にしながら寄り添ってくださるお人柄を重視しました。また、私には上司として、プロジェクトの主担当となるメンバーの成長を後押ししたいという思いもあり、実務を通じて良い刺激を与えながら、一歩一歩ともに歩んでもらえる人物像であるかどうかも重要な要素でした。


最終的な決定打となったのは、契約前に実施した事前の面談です。プロジェクトの主担当となるメンバーも同席する中で、私たちが実現したい内容に対してどのように対応していただけるかを、具体的にお話しいただくことができました。さらに、メンバーとのコミュニケーションも円滑に取れそうなお人柄であることを直接体感できたため、安心してお任せできると感じ、この方にお願いすることを決めました。

現場の負担を抑え、変化に強いデータ構造を作る

Q. 具体的にエキスパートとどのようにプロジェクトを進められたのですか?

プロジェクト構想の最初から入っていただき、約3ヶ月間にわたって週に1回、1時間ほどの定期ミーティングを行うスタイルで伴走していただきました。
まずは「社内のITシステムがこのような状況で、こういうデータを蓄積したい」「AIにも人にも使いやすくしたい」という前提を共有するところから始めて、どのツールを使うべきか、どんな設計にすべきかを一緒に考えていただきました。進め方としては、まず私たちが日々の業務の中で実務を進め、そこで生じた具体的な疑問や課題をエキスパートに投げかけます。そして、ミーティングの中でその内容についてディスカッションを行い、いただいたアドバイスを元に、次の1週間でこちらがさらに検討を深めていくというサイクルを繰り返しました。書面やテキストだけのやり取りとは違い、画面を共有しながらリアルタイムに直接対話ができたことで、文字だけでは伝わりにくいニュアンスや実務の課題をスムーズに紐解いていくことができました
また、実際に構築作業をお願いしている関係会社にもミーティングに入ってもらい、三方で画面を見ながら具体的なシステムの仕様について議論を重ねました。


この壁打ちのプロセスを通じて、実際に実務に直結するアドバイスをいただくことができました。例えば、私たちが社内で活用している生成AIツールについて、将来的に別のAIツールに変わるようなことがあっても、それまで蓄積したデータをそのまま新しいツールで使い回せるようにするための、先を見据えたデータ設計の助言をいただきました。
また、データを登録する側が綺麗に整理して格納しなければいけない仕組みにしてしまうと、日々の業務で忙しい技術者たちの負荷になり、運用の定着が難しくなるという懸念がありました。そのため、現場の技術者がある程度雑にデータを保存しても、生成AIが賢く読みこなして必要な情報を引き出せるような構造について一緒に考えていただき、実務の運用に即した仕組みをつくることができました

3ヶ月での基盤構築とチームに生まれた新たな視点

Q. ビザスクtechを活用したことで、どのような成果が得られましたか?

大きな成果は、通常業務と兼務のメンバーを中心とした体制でありながら、約3ヶ月という短期間で、現場にとって使いやすく、かつ将来の活用を見据えたデータ基盤を形にできたことです。
実際に、5月に入ってから技術者向けの説明会を実施し、システムへのアクセス権限を付与したばかりで、本格的な運用は正直これからという段階です。ただ、現時点で求めていたものと違うといった指摘は上がっておらず、現場のニーズという一次情報に、エキスパートの方の専門知識を合わせることで、この期間で仕組みを構築できたこと自体に大きな価値があったと感じています。


また、システムという目に見える成果だけでなく、組織やチームにとっても大きな変化がありました。私や、プロジェクトの中心となって動いてくれたメンバーも含め、チームの中に、すべての業務を社内の人材だけで完結させることにこだわらなくてもいいという意識が生まれたことですプロジェクトに必要な知見が社内にない場合でも、外部の適切な知見を柔軟に取り入れることで、これほどスムーズに推進できるのだと実感しました。プロジェクト推進におけるやり方の引き出しが確実に1つ増えました。


さらに、実務経験が豊富なプロフェッショナルと直接ディスカッションを重ね、その高度なナレッジにメンバーが直接触れる環境を作れたことは、上司としての大きな目的であったメンバーの育成やスキル向上という観点でも、非常に価値のある機会だったと感じています。同時に、この一連のプロセスは、育成に携わる私自身にとっても大きな気づきとなりました。これまでなら、専門外の技術領域で行き詰まった際、自分たちだけで手探りの試行錯誤を重ねて多くの時間を要していたかもしれませんが、外部の知見を適切に頼ることで、プロジェクトをより早く前進させられるという、マネジメントにおける構造的な学びを得ることができました

データの蓄積から好循環を生み出し、創造性を支えるプロセスへ

Q. 今後の展開と、同じ課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。

データ基盤の仕組みは完成しましたが、本当の取り組みはこれからです。まずはこの夏にかけて、現場の技術者たちにしっかりとデータを溜めてもらうフェーズを大切にしていきます。ある程度雑にデータを保存しても生成AIが十分に読みこなせるように設計していただいたので、現場が実際に使ってその便利さを実感し、自発的にデータが集まっていくような好循環を生み出したいと考えています。今後、実際の運用が本格化する中で、専門的な知見が必要となる新たな課題が出てきた際には、ぜひまた同じエキスパートの方に力を借りたいと考えています
データ管理や生成AIの活用は、多くの企業が共通して抱える課題だと思います。社内リソースだけで進めようとすると専門的な知見を補う難しさがある一方で、技術構築を外部へ一任する形をとってしまうと、現場の日常業務や実際の運用ニーズとの間にギャップが生じやすくなります。


大切なのは、自社が持つ現場のリアルな運用ニーズと、先端領域の専門知識をうまく掛け合わせることです。会社の規模や個別の環境、既存のインフラという固有の事情を踏まえながら、自社に最適化されたシステムを構築していくプロセスにおいて、実行と運用を共に見据えてくれる伴走型の人材を活用することは、非常に有効な選択肢になると感じています。今後もシステムの改良を重ね、私たちが本来目指している、技術者が創造性を存分に発揮し、革新的なものづくりを生み出す組織基盤を整えていきたいです。

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