活用事例
自社独自のバイオ技術を新たな市場に展開したい…ターゲット業界のニーズ調査から現場情報収集まで、ビザスクのスポットコンサルが次の事業戦略につながった。
課題
・自社製品であるゲノム編集マウスの利益を上げるため、新たに非臨床CRO(※)業界での用途展開を考えたが、現場ではどういう試験をしていて、どのくらいの規模感が必要かといった具体的なニーズを把握できていなかった。
・CRO業界出身者を採用しようと、創業期から募集をして300人ほどから応募は来たが、理想的な方と出会えていなかった。
実施内容
・ビザスクの公募にて、非臨床CRO業界で研究開発もしくは事業開発を行なった経験をもつアドバイザーを募集。
・非臨床試験の具体的な内容と、自社技術の活用可能性についてヒアリング。
結果
・募集開始した翌日には、CRO業界内でも有名な理想のアドバイザーとマッチング。
・当初の依頼項目に対しては満足のいくヒアリングができたため、追加で別のアドバイザーともインタビューを実施。自社製品および技術を売り込む際の課題感まで解消できた。
※CRO:Contract Research Organizationの略で、製薬会社から医薬品開発における臨床試験や製造販売後調査の業務を受託している企業
ー事業概要についてお聞かせください
当社は、徳島大学発ベンチャーとして、2017年2月22日に設立されました。ちょうど今年のノーベル化学賞を受賞した、遺伝子を自由自在に書き換えることができる「ゲノム編集技術」を産業応用していくことを目的としています。徳島大学の中に本社研究所があり、約20名のスタッフで活動しています。
研究支援事業としては、製薬会社や研究者に対して、研究技能をより早く安く効率的にするためのゲノム編集動物の提供や、畜産分野における高付加価値品種の開発支援等を行っています。
またプラットフォーム事業では、家畜の品種改良を高効率化していくために「ゲノム編集育種法」を提唱しています。従来の育種法は、10年以上の期間をかけ、時には数百頭の群れの中からひたすらオスとメスの掛け合わせを試していくというものですが、私たちの提唱する「ゲノム編集育種法」は基本的に1世代でその遺伝子の効果の有無を評価できるため、動物種にもよりますが、10年かけていたものを早ければ1年に短縮できる、画期的な方法です。徳島大学では当社の創業前からゲノム編集ブタの検証が行われていました。
ービザスクを利用された背景を教えてください
もともと、ビザスクにはアドバイザーとして登録していたので、数年前からビザスクのことは知っていました。
利用した背景をお話しすると、私たちの事業は、ゲノム編集マウスや培養細胞を基本的にお客様が望むようにオーダーメイドでつくって納品するビジネスモデルです。客単価100万から200万円なのですが、最近出てきた案件で、マウスを試験に必要な頭数に増やして納品することになった例があります。すると、100万円の案件が1000万、2000万円の案件となり客単価を上げることができたので、今後はそのような前臨床試験への用途を増やしていきたいと考えました。
そこで、非臨床CRO業界で研究開発もしくは事業開発を行なった経験をお持ちの方を対象に、弊社ゲノム編集マウスのニーズ調査をする目的でビザスクを利用することにしました。お客様である非臨床CROがいろいろな試験に使うためにマウスを活用することは分かっていたのですが、具体的にどういう試験に使っているかについてはあまり把握できていなかったので、お客様がどういう試験をしていて、どのぐらいの数が必要かといったことを詳しく知っていくためにビザスクを利用しました。
「もともと知っていた、業界で有名な専門家の方からも公募への提案があり驚きました。」
ーどのように公募をご利用いただきましたか?
率直にいうと専門家を探す作業が面倒だったので、公募から始めました。今回初めて依頼者として利用するにあたり、実際どれだけ役に立つのかもよく分かっておらず最初は半信半疑で利用していたので、できるだけ探す手数を少なくしようと思っていました。
募集を開始すると翌日から提案が集まってきて、募集期間内に6名の方からご提案をいただき、最終的に2名の方とインタビューを実施した形ですね。最初にインタビューを決めた方は、国内CRO大手企業での開発経験があり、現在も医薬品開発支援のコンサルティングをされているような非常にベテランの方でした。その方にヒアリングした段階で必要な答えを得られた実感はあったのですが、せっかくの機会なので、実際に製薬会社の現場にいる方にも話を聞いてみようと思い、もう1名、大手製薬会社の臨床開発部に在籍中の方にもインタビューしました。
当初ヒアリングしたかったことに関しては満足いく情報収集ができていたので、2回目のインタビューでは私以外の担当者にもヒアリングの機会を提供しようと思い、弊社の営業担当者を交えてインタビューしました。CRO業務を売っていく立場なのですが、売り方が分からないという悩みを抱えていたので、「製薬会社の方はどういうときにCRO体制を取るのか」「大手企業が弊社のような無名のバイオベンチャー企業に前臨床試験業務を発注するためにはどのような情報を提供する必要があるのか」といったことをヒアリングしました。お相手のアドバイザーの方には「質問内容を変えていいですか?」と、営業に関する質問で回答いただけるか改めて伺って、承諾を得られたので実施に至りました。
実際の公募案件
ーお使いいただいた感想を教えてください。
CRO業界の出身者の方とはコンタクトが少なく、他手段で募集をして300人ほどから応募が来ても、お話を聞きたい方とは出会えませんでした。ビザスクliteを利用し始めた時も、正直最初は求めている答えを得られるとは期待していませんでしたが、結果的に短期間で、非常に有効なインタビューを2回実施することができて満足しています。
2回目のインタビューでは私だけでなくプロジェクトメンバーも、疑問を解消できて満足していました。アドバイザーの方にいろいろとヒアリングできたおかげで、その後の議論も進みやすかったです。
使用感としては、サイト上のメッセージですべてのやり取りが完結するので、通常のコミュニケーションのようにメールを探したりする手間がないのもよかったですね。
「それまで知らなかった、現場経験者ならではの情報収集方法をアドバイザーから教わり、新たな情報源をベースに事業戦略を考えられるようになりました。」
ービザスクでのインタビューは、その後の事業に生かされていますか?
はい。インタビューで得た情報をもとに社内で新たなプロジェクトチームが生まれて、動いています。もともとプロジェクトチーム自体はあったのですが、ヒアリングした情報を元に軌道修正して、取り組み方を変えたんです。具体的にいうと、それまで全く知らなかったCRO業務の現場にいる方ならではの情報収集方法を教わったので、新たな情報源をベースに事業戦略を考えられるようになりました。
他にもプロジェクトはたくさんあるので、また分からないことが出てきた際は今回利用した経験を生かして、ビザスクを活用したいと思います。