活用事例

社外有識者がパナソニックの新ビジネスを考える!? 外部知見コラボ型のアイデア創出ワークショップを開いた理由

パナソニック株式会社

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インタビューにご協力いただいた方

  • デジタルマーケティング推進室 課長 岸原 直人様(左)

2019年5月、パナソニック東京汐留ビルにて「新規プロダクト/サービス創出ワークショップ」が開催されました。これは、ビザスク登録アドバイザー12名を招聘し、パナソニックのスマートシティ事業における新規サービスアイデアを自由に出し合う、半日のワークショップ。

あえて、”社外の有識者がメインに”アイデア創出するというコンセプトで企画されました。このコンセプトの狙いは?どんな成果があったのか? 企画された、同社の岸原氏に伺いました。

今回のワークショップ開催の背景をお聞かせください。

当社のスマートシティ事業であるサスティナブルスマートタウン(SST ※1)で、住民向けの新規サービスを検討していました。私たちは他社の方々から、家電や住宅といった各事業の接点で蓄積された顧客データベースが強み、と言われることが多いのです。しかし、社内ではどうしても商品軸・商品性能からビジネスアイデアを考える傾向にあり、顧客データベースをサービス創りに活かしきれていない課題感がありました。またSST住民の方々から、現状の困り事はヒアリング出来るものの、潜在的な困り事や未来のサービスにつながるような課題を抽出するのは難しいことも感じていました。

そこで、今までビザスクを通じてスポットコンサルしていただいたような”その道のプロ”であるアドバイザーの方々と、データベースを活用したビジネスアイデア創出の場を設けられないか、と思い立ちました。

※1 電力・熱・情報がつながるパナソニックのスマートハウス同志をネットワークし、共生させるまちづくりプロジェクト。街の店舗、施設、コミュニティ、さらには地域全体まで再生可能なエネルギーの活用やエネルギーマネジメントを連携させ、エネルギー地産地消のくらしを広げていくコンセプトで、2014年には藤沢SSTが誕生。(出典元

どのような観点で参加アドバイザーを選ばれたのでしょうか?

データベースを活用したアイデア創出を目指していたため、データ分析やデジタルマーケティングの有識者、生活分野に造詣の深い企業やスマートシティに関するアカデミック分野の方々を招聘したいと考えました。

これまでもスポットコンサルで、ドンピシャでマッチする方々に貴重なヒントをいただいてきました。そのなかでもう一度お話を伺いたい方もいたので、今回ご指名でリクエストを出させていただきましたし、他にも希望した要件に合うアドバイザーを提案してもらい、合計12名の豊富な知見をお持ちの方々に集まっていただきました。

ワークショップは3チーム制で行いましたが、チーム編成で意識されたことはありましたか?

今回はアドバイザー12名をカテゴリ分けさせていただき、3グループにプロットして、異なるバックグラウンドのアドバイザーが1チームになるようにしました。そこにファシリテーターとして当社のメンバー1名を入れた5名のチームが3つできました。

それぞれ異なる分野で経験と知識をもつアドバイザーが同じチームで共創することで、1対1のスポットコンサルにはない相乗効果があり、自社でも顧客でも気づいていない潜在的な気付きや面白いビジネスのひらめきが生まれるのではないか、という期待がありました。

こうして行われた半日のアイデア創出ワークショップ。どんな成果がありましたか?

ディスカッションを経て、3チームからそれぞれビジネスアイデアを発表していただきましたが、非常に面白く、実りがあったと思います。

A・B・Cという3つのビジネスアイデアが生まれたわけですが、実はA・B2つについては、社内からも出たことのあるアイデアでした。1つはシェアリングの概念を応用したサービス、もう一つは住民の安心を守るサービスのアイデアです。改めて社外の有識者からの発想として上がってきたことで、既存のアイデアの価値に気づけましたし、会社として認識していた強みが社外的にも強みであり、ビジネスに活かせると認識できた価値は大きいです。

一方で、Cは全く新規のアイデアを提案していただきました。ユニークで新しさもあり今の時勢やトレンドを反映している点、かつパナソニックにしかできない住民の潜在的なニーズを包括している点で、非常に参考になる内容でした。

結果、既存アイデア、新規アイデアの両軸で満足度が非常に高かったです。参加いただいたアドバイザーの方々が、仕事の域を超えてわくわく楽しそうに取り組んでいただけたのも印象的でしたね。

社外の方がメインというワークショップを行う上で、工夫された点は何でしょうか?

参加アドバイザーには、過去スポットコンサルでお会いした方々もいらっしゃいましたが、初めて弊社にご協力いただく方も多いので、目的や課題含め事前情報をきちんと提供することを心がけました。また、ワークショップ当日私たちの口からも改めて説明させていただいて、ワークショップを開始する前に目線を合わせることを心がけました。

こちらからの情報をオープンにし事前準備を行うことがいかに大事か、スポットコンサル経験で実感していましたので、情報共有を丁寧に行うよう工夫しました。

今回のワークショップ形式の活用には、どのようなメリットがあると思われますか?

グループならではの「創発」が生まれたことが一番のメリットだと思います。

スポットコンサルは当然、当社とアドバイザーという二者間の交流になりますが、ワークショップ形式で普段関わりのない業界のアドバイザー同志が意見を交わし、アイデアが共有され拡散した相乗効果は大きいと感じました。何より、参加いただいた皆さんが楽しんでやっていただいて。それにより活発な議論の場になって、自由にアイデアが出された事も良かったです。アドバイザーとしての報酬をもらっているから、という以上に楽しんで積極的に取り組んでいただけたのは、ビザスクという仕組みの強みだとも感じました。

会社の中では当たり前で見過ごされるような知見の価値を、その知見を本当に必要としている方々に認めてもらえるのがビザスクの強みだと思いますが、今回のワークショップ形式ではさらに、他アドバイザーとも刺激を受け取り合っていただけたようでした。知的な対外試合のようなイメージですね。弊社として得るものも大きかったのですが、アドバイザーの皆様の積極的な雰囲気も非常に印象に残りました。

社内のみなさんにはどんな影響があったと思われますか?

弊社は、良くも悪くも生真面目な会社で、新しいアイデアもプロダクト中心に考えがちでした。こうしたマインドは悪いことではありませんし、いきなり変わるものでもありません。でもこうしたワークショップに参加し、社外の人達が自分たちのビジネスをどう理解し、どう料理して新しいアイデアに昇華させるのかを聞ける。学ぶ部分も大きいですし、アイデア創出ということに加えて、プラスの刺激になっています。

ワークショップはどういった企業の方におすすめですか?

スポットコンサルは、初期アイデア段階で自分たちの知識が浅いような、前工程フェーズで使うのが効果的だと思います。一方、自社内で色々考え悩み課題も明確になってきた段階で、議論を一度広げたいときにはワークショップが良いと思います。

実際初めてやってみて、社外から複数のアドバイザーに参加していただくワークショップでは、アドバイザー同志の豊富な経験や知識が相まって得られる効果は大きいですし、社内メンバーへの刺激にもなりました。

今後は、どのような活用を予定されていますか?

機会があれば、今後も違うテーマで利用したいと思っています。

ビザスクの提供しているサービスは、依頼企業側からすると使うメリットしかないので、例えばエキスパートサーベイで広く反応を見て、スポットコンサルに移行して深堀りヒアリングを行い、マッチしそうな方とまたこうしたワークショップを開く、というのも良さそうですね。各種サービスを組み合わせて、最大限活用したいと考えています。

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