活用事例
「お客様が欲しいと言った機能」が、売れるとは限らない
KDDIが実践した一次情報を起点にしたプロダクト開発
利用したサービス
ビザスクinterview:1時間単位のインタビュー
概要
エキスパート : 新たな顧客ターゲットとなる金融・保険・人材業界の実務担当者・意思決定者
依頼内容 : 新機能・新サービスの仮説検証に向けて、現場の業務フロー・課題感・導入判断のポイントをヒアリング
実施施策 : ビザスクinterviewで仮説ごとに複数名のターゲットへインタビューし、開発優先度の見直しと販売戦略の設計に活用
こんな方におすすめ
・顧客要望を受けて開発したのに売れなかった経験のある製品企画担当者
・社内議論だけで進んでしまい、ニーズの確信が持てないまま開発を進めている方
・一次情報を社内説得や販売戦略にも活用したい事業開発担当者
KDDI株式会社は、通信事業を中心に多様なデジタルサービスを展開する企業です。今回は、事業創造本部 メディア推進部 グループリーダーとして、法人向けメッセージ配信サービス「KDDI Message Cast」の立ち上げから現在に至るまで、企画・営業・運用を横断的に推進されている原信吾様に、プロダクト開発における一次情報活用の実践についてお話を伺いました。
要望通りに作っても、現場では使われない
Q. プロダクト開発において、どのような課題がありましたか?
企画担当として日々感じていたのは、顧客要望を表面的に受け取ってしまうリスクです。営業やカスタマーサクセスから「こういう機能が欲しい」という声は上がってきます。ただ、それをそのまま開発に落とし込んでも、実際には売れないというケースが起きます。
ひとつ具体的な話をすると、大手人材派遣会社の営業担当者から「SFAのログイン画面からSMSを送って、送信履歴を自動で残したい」という要望がありました。ガバナンス上、個人端末での送信は避けたいというニーズで、一見筋の通った要望です。ところが実際に現場の声を聞いてみると、「わざわざSFAにログインしてSMSを送るなら、電話した方が早い」という反応でした。標準アプリで送れることの手軽さを維持しながら、履歴だけSFAに残したい。それが本当のニーズだったのです。
要望があることと、実際に使われることは別です。二次情報やAIによる調査に頼っていると、それっぽい正解は出てきても、現場の手触りのある課題までは見えてきません。そのギャップを埋めるために、一次情報を取りに行くことが不可欠だと強く感じていました。
2週間・3〜4名の想定顧客インタビューで、仮説の解像度を一気に上げる
Q. 課題解決のために、どのような施策を実施しましたか?
ビザスクを活用して、想定ターゲットへのインタビューを繰り返すサイクルを作りました。自社の営業経由で顧客に会う方法もあるのですが、営業ルートだと接触できる部門や人物が偏りがちで、本当に知りたい担当者に辿り着けないことも多く、ビザスクであれば、金融・保険・人材業界の実務担当者や意思決定者に、短期間でピンポイントにアクセスできます。
インタビューでは、あらかじめ質問リストを細かく作り込むのではなく、「こういう目的でこういうサービスを作っている、正直ここで困っている」と自分たちの状況を先に開示することを意識しています。尋問のように一問一答になってしまうと、相手も準備した回答しか返してくれません。自己開示をすることで、「だったらこういう使い方の方が合ってるんじゃないか」という本音が引き出されやすくなります。
1回のインタビューが終わったら、すぐにインタビュー参加者同士でフィードバックを話し合い、次のインタビューの質問内容を更新する。この繰り返しを2週間・3〜4名のサイクルで行うことで、仮説の精度が回を追うごとに上がっていきます。最初から全員分の日程を確保するより、1人目の結果を見てから2人目を設定する方が、インタビューの質は明らかに上がります。
「顧客が言った言葉」が、社内を動かす武器になった
Q. ビザスクを活用した結果、どのような成果がありましたか?
最も大きかったのは、開発判断の精度が上がったことと、社内での説得力が変わったことです。
先ほどのSFAの事例では、要望通りの機能ではなく「ログイン不要でSFAと連携できる仕組み」に転換することで、現場で使われる形に近づけることができました。インタビューで見えた本当のニーズを起点に仕様を変えた結果です。
また、インタビューでは当初想定していなかった発見もありました。同じ人材会社の担当者から、派遣スタッフへの年1回の義務研修案内が現場の大きな負担になっているという話が出てきたのです。派遣スタッフ様のメールアドレスは管理が煩雑で、携帯電話番号で送れることの価値が大きいというユースケースを発見でき、当初は想定していなかった提案先・提案軸が生まれました。
社内での活用という意味でも、一次情報の価値は大きいです。「クレジットカード会社の企画部長がこう言っていた」「保険会社のDX推進担当がこういう懸念を持っている」という具体的な言葉があるだけで、関係者の納得感が変わります。仮説だけでは通らない議論が、顧客の声を根拠にすることで一気に前に進む場面が増えました。
ビザスクinterviewは、仮説を本当のニーズに近づけたい方へ
Q. ビザスクinterviewはどのような方におすすめでしょうか?
新規事業や既存サービスの改善に関わっている方全般におすすめしたいですが、特に「既存の接点だけで検証が完結してしまっている」という方には使ってほしいサービスです。既存顧客や社内接点に頼った検証は、関係性ゆえにポジティブな反応に偏りやすく、「本当に売れるのか」という問いに答えられないまま開発が進んでしまいがちです。
私が実感しているのは、ビザスクを使うことで、企画部門にいながら現場の実務者の声に直接触れられるということです。企画担当は顧客と直接会う機会が減りがちですが、営業に「会わせてほしい」と頼んでも、タイミングや部門が合わないことも多い。ビザスクであれば知りたいタイミングに、知りたい相手にアプローチできます。
また、ビザスクのエキスパートは「いいですね」という曖昧な反応ではなく、「これは使わない、なぜなら…」とはっきり返してくれる方が多い印象です。その打ち返しこそが、仮説を磨く材料になります。新規事業でなくとも、既存ビジネスをやっている方こそ、一度使ってみる価値があると思います。
一次情報の取得を、開発の標準プロセスに
Q. 今後の展望についてお聞かせください。
今後は特定のプロジェクトに限らず、サービス開発のプロセスとして一次情報の取得を当たり前の動きにしていきたいと考えています。
仮説を立てたら、まず顧客に当てる。2週間以内に3〜4名に聞く。その結果をもとに仕様を絞り込んで、迅速かつ低コストでリリースする。うまくいったものをスケールさせる。このサイクルを組織として回せるようになることが目指したい姿です。
また、一次情報は開発だけでなく、販売戦略や社内説得にも使える資産です。顧客の声を蓄積し、営業メンバーへ展開することで、現場の提案の質も変わっていきます。AIを使ってインタビューの録音データを即座に要約・分析する活用も今後は取り入れながら、一次情報を武器にした事業推進の速度をさらに上げていきたいと思っています。
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