活用事例
スポットコンサルで臭気判定士・調香師4名の専門的な業務に従事する方の「生の声」を収集し、現場の課題を発見(vol.1)
コニカミノルタ株式会社
- 目的
- 業種
- 利用サービス
インタビューにご協力いただいた方
- ビジネス イノベーション センタージャパン(BIC Japan) 甲田 大介様
コニカミノルタの事業内容を教えてください
コニカミノルタは、もともとコニカ社とミノルタ社が2003年に経営統合してできた会社です。世代によっては、「サクラカラー」というフィルムのブランドというイメージが強い方も多いかもしれません。フォト事業、カメラ事業は10年ほど前に終了しており、現在は、デジタル印刷機器や関連ソリューション、オフィス分野の情報機器事業が約80%を占めています。その他にも、機能性フィルム材料やレンズとカメラユニットなどを提供する産業材料・機器事業、医療用画像診断装置をコアとしたヘルスケア事業を展開しています。
ビジネス イノベーション センター(BIC)について教えてください
事業を取り巻く環境が激変するなか、お客様のビジネスにより入り込んで新たな価値を提供するソリューション型の事業へと主軸を移していく必要があります。また、経営理念の「新しい価値の創造」、お客様への約束「Giving Shape to Ideas」の体現を加速する組織として、2014年度に新事業創出の専門組織として設立したのがビジネスイノベーションセンター(BIC)です。シンガポール、シリコンバレー、ロンドン、上海、東京の5極体制で運営され、各地域の大学やベンチャーキャピタルなどの研究機関と連携し、地域ごとの市場特性に応じた新規事業プロジェクトを推進しています。
ビザスクのご利用のきっかけを教えてください
ビジネス イノベーション センター(BIC)に所属する他のメンバーが、ビザスクと接点があり、業界経験者にお話を伺うと耳にしたのがきっかけです。私のミッションは、ビジネスイノベーションセンター(BIC)の一員として、新規事業を創出していくことです。担当している新規プロジェクトで、まさに業界の知見をお持ちの方にお話を聞きたいテーマがあり、アドバイザーの紹介を依頼しました。
具体的な案件内容を教えてください
現在、私が担当している新規事業のプロジェクトの1つが、「HANA(ハナ)」というニオイを数値化するシステムを活用した事業創出です。このプロジェクトは、「今、汗クサイかも…」、「加齢臭がしていないか…」といった誰しもが一度は感じたことがあるものの、自分では認識しにくい「ニオイ」に関する不安から解放できないか?という問いからスタートしています。「ニオイ」は、一般的に好き・嫌いや弱さ・強さで表現されることが多く、数値化することが難しいとされてきました。しかし、外部の研究機関とも連携して、「ニオイ」の数値化を進めていく中で、「ニオイのデジタルデータ」の可能性をより深く模索したいと考えるようになりました。
体臭に関する課題やニーズは、アンケートによって把握することができました。また、ニオイについて様々な観点から探っていくと、体臭という個人の問題以外にも、「モノ」や「空間」のニオイ課題があることが分かってきました。しかし、それらの課題は、「ニオイ」を仕事として専門的に扱う方にお伺いしないと、実態がよくわからないものです。ニオイの仕事の専門家の方が、日々どのような業務を行い、何にお困りなのかといった実態を把握するためにスポットコンサルを依頼しました。
スポットコンサルの依頼はどのように進めましたか?
ビジネスイノベーションセンター(BIC)は新規事業創出の専門組織ですので、大学などの研究機関、マーケティングやプロダクト開発チームは組成できます。しかし、実際に特定の分野に従事されている方とのネットワークは、恒常的には作りにくいものです。そこで、「ニオイの専門家」として、臭気判定士と調香師のサーチを依頼しました。私自身でもリサーチには着手していましたので、業界団体や資格認定法人などのキーワードと合わせてビザスクのコンシェルジュに伝えました。10年以上の経験をお持ちの方や、8名の資格取得者が在籍する企業の経営者の方などをご紹介いただきました。結果として、臭気判定士と調香師各2名、計4名の方と面談しました。
アドバイザーから、知りたい情報は得られましたか?
4名のアドバイザーの方に、「ニオイ」にまつわる仕事をどのように進めておられるのか、業務上でどのようなお悩みがあるのかなど、ざっくばらんにお伺いすることができました。事前に質問リストを用意し、面談の場では、ビジネスイノベーションセンター(BIC)のミッションや進行中のプロジェクトについてもご案内させていただきました。それによって、実態をお伺いするのはもちろんのこと、抱えていらっしゃるお悩みの解決のアプローチについても意見交換できたと思います。
例えば、臭気判定士の方との面談では、工事の現場などでは「ニオイ」に関するクレームを受けることがあるものの、客観的な評価が難しく対応が後手に回りがちだというお話を伺いました。もし、「ニオイ」の数値化データを活用することができれば、予め適切な対応ができるのではないか、などのニーズを特定できました。また、調香師の方は、食品やシャンプーなど商品開発に携わられていました。ターゲットの好む香りを作り手側の「人」に依存しない形で導出することができれば、よりお客様の求めるニーズにマッチしたプロダクトを生み出すことができるのではないかという、課題が見えてきました。
業務で専門的に「ニオイ」に携われている方のお話を伺うことで、ニオイを数値化した「HANA(ハナ)」システムの可能性を検証することができたと思います。
スポットコンサルの成果はどのように認識されていますか?
ビジネスイノベーションセンター(BIC)の新規事業創出は、いくつかのステップで進めていきます。例えば、ビジネスアイディアから、フィジビリティを行う段階にステップアップする際には、ゲートキーパーである執行役員の承認を得る必要があります。今回は、ビジネスデザインの過程においてビザスクを利用させていただきました。実際に、臭気判定士や調香師の方にお話をお伺いして把握したファクトから導出した仮説だからこそ、リアリティのあるプランを提言できたと思います。現在は、マーケットテストの段階に進んでいますが、新規事業のプロジェクトリーダーとしては、「生の声」を把握していることは大きな自信になりました。
また、今回、ビザスクにスポットコンサルを依頼したメリットとして、「スピード」も挙げられるかと思います。もし、ビザスクとの接点がなければ、私自身で、業界団体等をリサーチして面談のお願いをさせていただくつもりでした。しかし、先方にとっては唐突感もありますし、ご都合に配慮してしまい時間もかかるものです。サービスとして、知見を有する方とのマッチングを展開しているビザスクでは、アドバイザーの方もこちらの状況をご理解いただけていますので、仮説検証のスピードアップができたと感じています。
ニーズ把握のためのリサーチ手段は様々ですが、ビザスクの特徴は何でしょうか?
前職も含めて新規事業の創出を担当させていただいた経験も長く、ニーズや課題把握のリサーチも多数してきました。定量的にニーズを把握すべきタイミングも当然ありますが、ビザスクの良い点は、やはり「生の声」を聞けることではないでしょうか。新規事業の創出においては、正解はないものの「本当にそうか?このアプローチでいいのか?」と自問自答することも多いものです。そのような状況において、「生の声」をスピーディに集められることで、客観的な構想の立案につながりますし、仮説に確信を持つことができると感じました。
今後、ビザスクをどのように利用していくお考えですか?
ニオイを数値化する「HANA(ハナ)」システムは、2016年3月に、Pioneers Asiaのイベントで参考出展する際にプレス発表し、日本経済新聞さんなどでもご紹介いただき、「こんなこともできないか?」というお問い合わせをたくさんいただいている状況です。既に他プロジェクトでも利用していますが、本プロジェクトの進行においても、当社のネットワークでは接点を持ちにくい特定のご経験を持つ方に、お話を伺いたいということはあるかもしれません。また、今回は、ご質問がかなり明確な状態でスポットコンサルを利用しましたが、新規事業のプロジェクトの内容によっては「誰に、何を、聞いたらわからない」というケースでも経験者の知見は活用できるのではないかと思います。
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