活用事例

新規事業のプロトタイプ開発フェーズでアドバイザーの知見を活用。事業仮説を検証し、次の一手の精度アップに(vol.2)

コニカミノルタ株式会社

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インタビューにご協力いただいた方

  • ビジネス イノベーション センタージャパン(BIC Japan) 甲田 大介様

コニカミノルタの経営理念である「新しい価値の創造」、お客様への約束「Giving Shape to Ideas」の体現を加速する組織として、2014年度に新事業創出の専門組織として設立されたビジネスイノベーションセンター(以下、BIC)。BICにてニオイを数値化するシステムを活用した事業創出をリードする甲田氏は、当該事業のビジネスドメインの定義のフェーズにおいてビザスクを利用くださいました。

今回は、その後のプロトタイプ開発フェーズにて、ビザスクをご利用いただいた事例についてお話を伺いしました。

前回の記事はこちら:
スポットコンサルで臭気判定士・調香師4名の専門的な業務に従事する方の「生の声」を収集し、現場の課題を発見

ニオイの数値化の新規事業プロジェクトの現在の状況を教えてください。

ニオイは可視化手段がないという点に着目し、ニオイを検出し、数値化するニオイ測定プラットフォーム「HANA(ハナ)」の検討過程で、「ニオイ」にまつわる仕事に従事する臭気判定士や調香師などの専門職の方々のお話を伺うためにビザスクを利用しました。

職場に関する意識調査によると、同僚など周囲の人の身だしなみで「どうにかしてほしい」と思うものとして、「体臭」と答える方の数が一番多いのですが、一方で、他人の身だしなみで最も指摘しにくいことも「体臭」と回答する数が一番多いです。これは、嗅覚の特徴である疲労性(同じニオイを嗅いでいるとそのニオイが感じなくなってしまう性質)が原因し、自分では自分の体臭がわからず、「周囲に不快感を与えてしまう」、「逆に自分の体臭がわからないために周囲に不快感をあたえているのではないか?という不安を抱えてしまう」という課題が発生しています。

そこで、我々が当初より課題として設定していた「今、汗クサイかも…」、「加齢臭がしていないか…」といった誰しもが一度は感じたことがあるものの、自分では認識しにくい「ニオイ」に関する不安から解放するため、「人の体臭」の検出と数値化をするサービスの開発を具体的進めています。

今回、ビザスクを利用いただいた背景を教えてください

日本初となる体臭チェッカー「Kunkun body」を開発中です。ニオイが気になる部分にポケットサイズのニオイチェッカーをかざすだけで、スマホアプリで体臭(ニオイ)の種類と強さを数値で見える化し、対策の必要性が判断できるサービスです。2016年8月末に第1号となるプロトタイプが完成しました。消費者が体臭を測ることに対してどのように感じるのか、使っていただけるものになるのかを、プロトタイプの段階で直接確かめ、サービスとして成立するかどうかを見極めるため、我々自らが掲げる「オープンイノベーション」の実践として、大阪でイベントを開催しました。

2日間の開催中、人気ラーメン店のようにひっきりなしで行列ができるほどの大盛況なイベントとなりました。参加された皆様は、どなたも自分の体臭(ニオイ)を“見る”ことで安心してくださっていたようです。我々が提供したかった“安心”という価値が今回のイベントを通して証明することができました。イベントを通じて、市場におけるサービスの受容性は検証できたのですが、プロジェクトが進むにつれて次なる悩みが2つ出てきました。前回のビザスクの利用から、聞きたい経験や知見をお持ちの方をスピーディに探してもらえることは分かっていましたので、今回も求めるご経験をお伝えし、アドバイザーと面談をしました。

具体的にはどのような面談をされたのでしょうか?

まず、1つ目の悩みが「Kunkun body」のデザインについてです。プロトタイプが出来上がった時点で、「確かに要件は満たしているものの、どこかイメージが違う」と感じていました。デザイン会社さんと膝をつけあわせて議論をしながら、開発してきたものだからこそ、「何か違う」の「何か」が言語化しきれないように感じたので、セカンドオピニオンを伺いたいと考えました。そこで、「大手メーカー勤務で、エンドユーザーに対してプロダクトを作った」経験を有するアドバイザーの紹介を依頼しました。日系大手企業でUI/UXデザインの経験のある方とプロダクトデザインの経験者にお話を伺いしました。質問は、「今の「Kunkun body」の何をどう変えたら、コンセプトを具現化できるのか」ということでした。

2人のアドバイザーから、それぞれの視点で「どこに違和感があるのか」「どこを変えたらどうなるのか」「世にある製品の隠れされている工夫ポイント」など、具体的なコメントをいただき大変参考になりました。アドバイザーとの面談の結果は、パートナーのデザイン会社とも共有し、早速プロダクトの開発に活かしています。

2つ目の悩みが、サービスの価格についてです。社内でも情報を収集していましたが、社外の市場のプレイヤーの考え方や動向も参考にさせていただきたいと考えました。BIC Japanのハード開発が伴う新規事業においては、ハードベンチャーの方々と立ち位置や環境が近いです。そこで、大手での商品開発経験者とハードベンチャーの方のご紹介を、迷わずビザスクに依頼しました。

このテーマでは、ベンチャー企業の支援コンサルティングに従事する方、IoT・ハードウェア関連スタートアップの共同創業者でCTOの方、大手電機メーカーでの商品開発経験を経て現在は独立されている方にお話を伺いしました。価格を軸にした質問から面談はスタートしましたが、販売方法や品質の担保など事業を展開する上での多岐に渡るお話をいただきました。絶妙なタイミングで必要な情報をすぐに得ることができたのは、プロジェクトのスピード感を保つ上で大変助かりました。

新規事業のプロトタイプ開発フェーズの面談の成果をどのように認識されていますか?

BICでは、1年〜1年半単位で判断軸を設定しながら新規事業を推進しており、走りながら考えることが必要になっています。そのようなスピード感で事業を進めている中で、速い時には依頼から翌々日にはアドバイザーの面談を設定いただけるのは大変ありがたいです。そのスピード感も含めて、費用対効果も高いと考えています。事業を推進する上で知りたいことについて、ビザスクを通じてその世界の第一人者からパッとコメントをもらえ、想定通りのスピード感に沿って仮説検証を進められている状況です。もちろん、当社の社内にも知見はありますが、社内のすべてのスキルや経験が可視化されているわけではないので、必要な情報にたどり着くのに時間がかかってしまうこともあります。また、新規事業開発プロセスの中で、様々な立場の方にお話をお伺いすることで、仮説の精度が上がるという経験値があります。新規事業においては、決めうちでいくと失敗する可能性が高く、様々な方の話を聞きながら仮説を検証して出した答えの方が、低リスクです。そのような観点から、1時間というスポットで専門家やその領域の第一人者の話をお伺いできるのは大変効率的だと感じています。

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